前回の、法人向け研修における(A)TOEIC対策(B)会話スピーキングの英語学習教材の選び方に続き、今回は、(C)スキル研修(D)赴任前研修(E)自己学習支援プログラムの教材選定方法をご紹介します。

(C)スキル研修(D)赴任前研修

スキル研修向け教材選択については、市販教材を選ぶ場合と、研修提供企業が独自に開発したものを使用する場合がありますが、内容が専門的なため個人では選択が難しいと思います。

市販教材は洋書テキスト(一部は前回)の中から目的に応じて選ぶ形になりますが、ニーズも細分化されるためオールマイティ教材というものはありません。

スキル研修を依頼する研修企業と相談するのが最も現実的です。その研修企業のオリジナル教材を使うか、市販教材を使うか、または双方を併用するかなど、ニーズに合わせた対応が期待できます。

また英検協会、日経新聞社、アルク社など民間企業が提供するオンラインプログラム(多くは自習用)もあり、こうしたものを研修内で併用したりするという方法もあります。

赴任前研修の場合、目的がさまざまになります。赴任資格としては、研修生として海外に送られる場合、長期出張または駐在員として送られる場合などがあり、また求められるスキルには、自己紹介、異文化対応力アップ、現地事情の理解、プレゼンテーション能力、現地従業員の技術指導やアドバイス、現地従業員のマネジメントなどさまざまです。これも専門の研修業者に相談することを進めします。

 
(E)自己学習支援プログラム

最近は自己学習を基本として、これに数回のスクーリングやオンラインプログラムを併用する長期型自己学習支援プログラムを採用する企業が増えています。これは学習者が目的に合わせて自己学習教材を選び、設定されたゴールに向かって数か月にわたって学習し、クライアント企業と研修業者がその進捗を管理するものです。こうしたコースでは途中で講師によるスクーリング(例えば学習法指導や特定スキルの対面指導)が行われ、コースの最後にはTOEIC受験や課題発表などが行われます。

こうしたプログラムでは上記に挙げたような自習用教材を受講生に選ばせたり、また研修企業が提供する教材やオンラインレッスンが課題として提供されます。市販教材を副教材として併用する場合もあります。

 

上で挙げていない初中級レベルの自習用教材を挙げておきます。


<文法>

・「中学英語をもう一度ひとつひとつわかりやすく」(学研教育出版)
・「高校英文法をひとつひとつわかりやすく」(学研教育出版)
・「一億人の英文法」(東進ブックス)
・「表現のための実践ロイヤル英文法」(旺文社)

 
<リスニング>

・「究極の英語ディクテーションシリーズ」(アルク)
・「聞いて書きとる英語リスニング300問」(DHC)
・「ゼロからスタート リスニング―だれにでもできる英語の耳作りトレーニング」(Jリサーチ出版)

 
<作文>

「どんどん話すための瞬間英作文トレーニング」(ベレ出版)

 
<語彙>

「速読英単語シリーズ」(Z会)
「DUO 3.0」(アイシーピー)
「速読速聴シリーズ」(Z会)

<その他>

「英検参考書シリーズ」語彙、総合対策など(旺文社)

 

2回にわたり、法人向け研修におすすめの英語学習教材の選び方をお届けしました。是非、今後の参考にしてみて下さい。

 

執筆者:鈴木武生 Ph.D.
株式会社アジアユーロ言語研究所代表取締役。会社HP: https://asiaeuro.org

早稲田大学および跡見学園女子大学非常勤講師。(株)日中韓辭典研究所言語学顧問。さくらリンケージインターナショナル社シニアコンサルタント。

商社勤務後,翻訳・通訳者、漢英字典編纂者を経て独立し,アジアユーロ言語研究所を設立。翻訳・通訳業務,多言語辞書編纂,データ処理,検索エンジン開発を行うとともに,大手外資系メーカーのアジア太平洋地区ビジネス開発を支援。また企業向けスキル研修プログラム(英語,中国語,異文化理解など)の開発と実施,ならびにグローバル人材研修・開発のコンサルティングを行う。

「海外経験のない一般的な日本人が、外国語能力を身に付け、外国人と自然なコミュニケーションが図れるようになるためには、一体何をどのように実践したらよいのか、またどうすればそうした学習者を支援できるのだろうか」という思いで設立。企業向け語学研修・異文化研修を中心に、日系・外資を問わずあらゆる業種の企業に対して、学習者の語学力向上をサポート。
東京大学総合文化研究科修了(言語情報科学専攻),言語学博士。研究対象は英中日台の語彙概念意味論、言語類型論、語用論、構文論。またタイヤル語(台湾原住民族語)のフィールドワークを行う。

著書:「異文化理解で変わる ビジネス英会話・チャット 状況・場面115」 (Z会のビジネス英語)

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