日本の企業はメンバーシップ型雇用と言われるように社内での協調性や文化的な親和性が重要になるため、日本企業の面接では、その人の人柄はどんな環境で過ごして来たのかが非常に重要な情報となります。
一方欧米企業はジョブ型雇用と言われ、提示されている仕事を遂行するスキルが十分にあるかが重視されます。そのため当然ながら就職面接で求められることも変わってきます。外資の場合、新卒だけでなく中途採用も積極的に行うので(新卒のほうが少ないかもしれません)、面接ではしっかりと自分をアピールする技術が必要でしょう。
英語でアピールする技術
しかしこのアピールは大げさに表現したり、表情をオーバーにすることではありません。おおくの場合次のことについて英語で説明することが求められます。
①これまでの職務の内容
②これまでの職務の中で達成したこと
③自分の仕事のスキルとそれを客観的に示せる例など
④この仕事に応募した理由
⑤募集されているポストにおいて自分がどのような貢献ができるか
①これまでの職務の内容は見てそのままです。ただしその場で「あーだったけ、こーだったけ」と思い出しながら話すのではだめです。英語での面接では聞かれたことを必要以上に答えるのは避けるのが賢明です。明確に説明できるよう準備しておくことが大事です。「私はXコンサルタントに勤務しており、主にA銀行の勘定系システムのプログラムを改善する仕事を行っていました。具体的にはXXXXといった作業が中心でした」程度の内容がすらっと英語で出てきてほしいものです。
②これまでの職務の中で達成したことについては社内の話なので、社外の人間にはわかりづらいトピックです。多くの人がいきなりディテールから入ってしまいやすいですが、まず全体像を示し、それから詳細について分かりやすいキーフレーズを使って説明するとよいでしょう。例えば、「A銀行の勘定システムは体系が複雑すぎるため、メンテナンスに非常に時間がかかりますが、私はその体系を見直し、メンテナンス作業の効率を約30%向上させました。言い換えればチームに従来メンテナンス作業に50人必要だったところが35人で済むようになったわけです」というような具合です。
英語の面接では③の仕事のスキルについて詳しく説明が求められる場合もあるので、もし簡単で分かりやすい資料があれば持参しておくのも手だと思います。スキルといってもどのくらいのことができるのかを具体的に言う必要があり、「言語はCOBOLとJavaができます」というようなざっくりしたレベルではなく、具体的にどのようなことができるかを手短に説明できるように原稿を用意してリハーサルをすることが欠かせません。
④この仕事に応募した理由と⑤募集されているポストにおいて自分がどのような貢献ができるかについても明確に表現できる必要があるでしょう。「外資が夢でした」とか「御社の評判にあこがれて」というような動機ではまずだめでしょう。私はこれまで何々という分野の専門家として、このようなスキルを身に付けてきた。次のキャリアパスの段階として、御社の職場で自分のスキルをこのように発揮し、このように成長したい」というような説明力が求められます。
日本語の原稿をそのまま英訳ではダメ
最後の重要な点として、日本語で書いた原稿をそのまま英語にして翻訳してもうまくいきません。かならずポイントを絞った明快な構造を持ったパラグラフを書き、それをネイティブにチェックしてもらい(場合によっては書き直してもらい)、人間を目の前にしたリハーサルを複数回行ってください。面接における自己アピールは。技術的にもコンセプト的にも英語のプレゼンテーションと同じと言えるでしょう。