どうして企業の英語研修はうまくいかないことが多いのでしょうか?うまくいかない「企業の英語研修あるある」から、本当にうまくいく英語研修導入のコツまでをお伝えします。
よく聞く「英語研修あるある」
効果的な英語研修の導入は、常に企業の研修担当者の悩みのタネです。
よくあるケースは、費用削減や鳴り物入りの営業で導入した、eラーニングコンテンツに関する問題。eラーニングのコンテンツ自体は、とてもよくできており、これにより自発的に学び、社員たちの英語力が向上すると期待。しかし結果は、ほぼ1カ月もしないうちに受講比率が大きく低下するというケースです。
あるいは、集合研修がモチベーションUPにつながると導入し、研修アンケートも好評であるにもかかわらず、実際の英語力は向上しないというケース。
最近では、リアルの研修とeラーニングを併用する、いわゆるブレンディッドラーニングも取り入れられていますが、これを導入しても最終的な継続率が低いというケース、などがあげられます。
では、なぜ企業の英語研修は、続かない、あるいは実施しても成果につながらないのでしょうか?
知られていない、研修失敗の本当の原因
英語研修で成果が出ない本当の原因。それは、「成果を実感するまで続けられる動機づけの不足」です。
世間一般には、英語習得について「1週間でペラペラ」や「聞くだけで英会話をマスター」など、安易な方法で容易に英語が身につくことを喧伝する広告が氾濫しています。
しかしながら、英語をしっかりと学んで身に着けた人は、「英語は努力しかない」、ということを知っています。そして、研修でも、「研修さえ受ければ話せるようになる、英語が身につく」と安易に受講した場合、上記のような、受講率の低下や、成果につながらない、という「企業の英語研修あるある」のケースにつながってくるのです。
つまり、成果が出ない、企業内研修の原因は、1つは、成果につながる仕組みの不足であるということができます。
成功する研修に必要な2つの要素
では、企業内での英語研修を成功させるには、どのような仕組みが必要なのでしょうか? それには、大きく2つの要素が必要となります。
1.オリエンテーションがすべて
1つめは、研修最初のオリエンテーションです。
「いや、それは毎回実施している」と言われるかもしれません。問題は、その内容です。私が通常実施しているオリエンテーションは、それが、発音トレーニングであれ、ビジネス英語であれ、常に同じオリエンテーションを実施しています。テーマは、「日本人はなぜ英語が苦手なのか?-学校英語のなぞ-」と題して、日本人が英語が話せない理由を明確に伝えます。そして、それを解決する方法がこの研修であることをロジカルに落とし込んでいきます。
つまり、なぜ、この研修が必要なのか?という理由をWhy-Becauseで明確に落とし込むことで、研修を継続する動機づけ、モチベーションが埋め込まれるのです。
オリエンテーションは、単に受講の手続きや操作方法を説明することが主であってはならないのです。
2.ヒューマン・コミュニケーションの重要性
2つめは、続けるための仕組みづくりです。
最近では、脳科学的な知見を取り入れた、ゲーミフィケーションなどの仕組みをもつeラーニングも多くありますが、これもすべての人に有効であるとは限りません。英語学習の過程で、受講当初は高まっていたモチベーションが続かなくなることは、すべての学習者に起きることです。では、どのようにして、高い学習動機づけ、モチベーションを維持することができるでしょうか?
その仕組みづくりで一番大切なことは、「人とのコミュニケーション」です。動機づけは、心理的なものである以上、人の心に係わる仕組みづくりが重要な要素になってきます。私が実施する企業の英語研修では、基本、マンツーマンであり、face to faceであるため、常に受講者の心の動きを直接感じ取り、即座にアドヴァイスが可能です。しかしながら、eラーニングなどでは、その状態を把握することは難しい側面があります。ただ、データにより、コンテンツへのアクセス回数や、ステージクリアの頻度などを観れば、心理的に継続が難しくなっている状態を把握できます。
このようなときには、直接LA( Learning Assistant:学習助手) などが、サポートに入ることで、当初のオリエンテーションで得たモチベーションを維持、継続することが可能になるといえます。
これら2つの要素を研修に付与することにより、優れたコンテンツを活かしきり、企業内英語研修で大きな成果を創ることが可能になることでしょう。
執筆者:竹村 和浩(たけむら かずひろ)
AllAboutビジネス英会話ガイド 担当テーマ:ビジネス英会話
英語発音矯正士 ビジネス・ブレークスルー大学 英語専任講師
英語通訳案内士/英語発音矯正とビジネス英語が専門。
㈱Universal Education代表取締役。
日本人はなぜ、英語が苦手なのか?その原因が、正確な英語の音の未習得にあることを25年前に発見し、独自の音声指導法、EVT: English Voice Trainingを開発。英語発音矯正の草分け/第一人者として、音素トレーニングを中心とした発音矯正で日本人の英語スピーキング力の向上に尽力している。RMS:リクルートマネジメントスクール受講者満足度No.1講師。