現在、企業においてスピーキング能力がますます求められる状況と、AI技術の発達が合わさり、英語の測定試験もどんどん進歩しています。今回はCASECとVERSANTに焦点を当てて特徴や利点を検討していきたいと思います。
CASECとVERSANTはともにその手軽さが最大の売りとなっています。いずれもインターネットで受験ができ、テスト結果がすぐにわかるというメリットを持っています。
CASECの特徴
まずCASECについて見ていきましょう。これは株式会社教育測定研究所が開発・運営しているコミュニケーション能力テストで、英語テストとしては後発組で2001年に始まりましたが、開始2年で累計受験者が10万人を突破し、現在では229万人となっています。このテストは多くの利便性があり、
1.受験費用が安価(個人受験で¥3,667)
2.コンピューターがあれば24時間どこでも受験可能
3.受験時間が短く40分~50分程度
という特徴を持っています。
テストは4セクション(語彙知識、表現知識、大意把握、聴き取り)で構成されています。TOEICがビジネスシーンでのコミュニケーションに特化しているのとは対照的に、CASECでは日常生活、学校、ビジネスの三つのシチュエーションから出題されます。この点で高校生、就活生を含む学生全般に適したテストと言えるでしょう。
採点はすべてコンピューター採点で、スコアはセクションごとに出るほか、英検とTOEIC L&Rに換算した場合のスコア相関(相当スコア)も見ることが可能です。
受験は個人と団体の双方で受け付けています。
VERSANTの特徴
VERSANTはピアソンが開発したテストで日本では日本経済新聞社が事業運営主体となっています。テストはパソコンとスマホアプリのいずれからでも24時間受験できます。スピーキング能力に比重を置いており、アメリカ国防省をはじめ多くの海外の国際機関でも実績を持ちます。
スピーキングテストは約20分。出題数は63問。総合点およびサブスコアは全て20点から80点で採点されます。各セクションは下記の通りで、スピーキングテストとしてかなりハードルが高い、「プロフェッショナル仕様」のテストになっています。
セクションA:音読8問で流暢さと発音を診断
セクションB:復唱-16問で、音声で流れた文章を聞こえた通りに繰り返し、構文、流暢さ、発音を診断
セクションC:24問の質問から語彙力を診断
セクションD:文の構築-10問で3つの単語リストから文章を正しく作ることで文章構文と流暢さを診断
セクションE:要約-3問で構文、語彙、流暢さ、発音を診断
セクションF:自由回答-2問で文章構文、語彙、流暢さ、発音を診断
スピーキングスコア結果は総合、文章構文、語彙、流暢さ、発音別に見ることができます。その場での文章構成力まで診断するのでTOEIC600点以下の人はほとんどがスコアに差のないロースコアにとどまる可能性が高いと言えます。
また近年ライティングテストのサービスも開始されました。テストセクションはAからEの4つで下記の内容となっています。
セクションA:タイピング-1問でタイピングの速度と正確さを診断
セクションB:空欄補助-20問で語彙を診断
セクションC:ディクテーション-16問で文法力を診断
セクションD:文章再構成-4問で文法力と読解力を診断
セクションE:Eメール記述-1問で文法力、語彙、文章構成、言葉遣いと文体、読解力を診断
テストは20分から40分程度で終了し、結果スコアレポートは終了後すぐにウェブから見ることができます。スピーキングテストの個人受験費用は¥5,000で、ライティングテストは¥4,000で、スピーキングと合わせ¥8,000で受験できます。
結論として、CASECは学生や20代前半の社会人向けに向いているのに対し、VERSANTは実際に英語を使用した実務経験のある人、またはニアネーティブレベルの人にも対応できる本格的(で準備の難しいがゆえに実力がはっきり見える)テストと言うことができるでしょう。
著書:「異文化理解で変わる ビジネス英会話・チャット 状況・場面115」 (Z会のビジネス英語)
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