企業の人事・研修担当者は、語学研修を選択する立場です。適切な研修を選ぶことが成功の鍵となるでしょう。そのためには、選択する人事・研修担当者に、判断するための知識とスキルが必要となります。ではどんなポイントを押さえればよいのか、いくつかのポイントを挙げてみたいと思います。
研修選択の3つのポイント
適切な語学研修を選択するのは、容易ではありません。参加者の満足度、研修実施による成果など、考慮すべき点が多くあります。そのためにはいくつかのポイントを押さえる必要があります。適切な語学研修選択のためのポイントをご紹介します。
まず企業の研修には目的があります。特に英語研修の場合には、参加者の英語力を向上させるという明確な目的があります。
選択のポイント第一は、なんといっても、まず成果があがること。研修のbefore/afterの違いが分かる研修を選択しなければなりません。そのために、留意すべき3つのポイントがあります。
ポイント①:モチベーションアップの機能があるか?
語学研修はそれぞれに工夫されているものが多くありますが、どんなに内容が良くても、モチベーションが続かず、脱落者や修了者が少ないということでは研修の成果を測ることはできません。修了率などでモチベーションアップの機能があるかどうかを判断することもできますが、重要な判断の基準は明確なモチベーションアップのための「仕組み」が具体的に組み込まれているかどうかです。
例えば、それがAIなどのシステムである場合もありますが、チームで取り組む内容や、組織経済学や心理学に基づく理論に裏付けられた仕組みがあるかどうかも確認する必要があります。やみくもにリマインドを入れる仕組みでは逆に飽きられてしまうことも多くあります。
ポイント②:成果につなげる仕組みがあるか?
たとえ学習を継続したとしても、それが成果につながるかどうかは別ものです。そこにはさらに2つの要素が関係してきます。
成果につながる仕組みとは一つには互いに刺激しあう同志の存在です。最近ではチームビルディングによる研修同期メンバーが互いに切磋琢磨する仕組みづくり、あるいは「フロントランナー」という役割を決めてチームの中にあって常にトップの成果を出すという仕組みなどが注目されています。つまり、成果を出すことを役割とするチームメンバーを創ることにより、成果への道筋を示すという仕組みです。
成果につながる要素の2つ目には、研修参加者同士による「情報共有」の仕組みがあります。つまり、チーム同士で競い合う仕組みと同時に、チーム内で成果が上がった学習方法などを「情報共有」する仕組みをつくるのです。
これにより、互いのチームとしての絆が形成され、一人で悶々と悩まずにより効果的な成果につながる方法を共有することができます。これが、チーム全体、ひいては研修参加者全体に成果をもたらす仕組みです。
ポイント③:継続とフォローアップの仕組みがあるか?
最後に判断基準として考慮したい点は、継続とフォローアップの仕組みがあるかどうかです。チームビルディングもその有効な方法ですが、もう一つ大切な要素があります。それはチームごとに寄り添い、チーム全体の継続、また落伍者が出ないように見守りフォローする、「伴走者」の仕組みです。
長いマラソンでも伴走者がいれば完走できるように、研修参加者一人一人に寄り添い、一緒に走ってくれる客観的な存在があれば、優れた研修の成果にたどり着くことができます。いわば「ヒューマンサポート」の仕組みがあるかどうかは、成果につながる研修の目安となるといえます。
まとめれば、語学研修の選択のポイントは、モチベーションアップの心理学的な理論に基づく研修であるか? チームビルディングなど、具体的な成果につながる仕組みがあるかどうか? そして「伴走者」という客観的に、研修担当者に代わってチームや全体を導いている「ヒューマンサポート」の仕組みがあるかどうか? ということです。
こういった仕組みがあれば、優れたカリキュラムを使って社員の語学力、英語力に大きな違いを創ることができるはずです。
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執筆者:竹村 和浩(たけむら かずひろ)
AllAboutビジネス英会話ガイド 担当テーマ:ビジネス英会話
英語発音矯正士 ビジネス・ブレークスルー大学 英語専任講師
英語通訳案内士/英語発音矯正とビジネス英語が専門。
㈱Universal Education代表取締役。
日本人はなぜ、英語が苦手なのか?その原因が、正確な英語の音の未習得にあることを25年前に発見し、独自の音声指導法、EVT: English Voice Trainingを開発。英語発音矯正の草分け/第一人者として、音素トレーニングを中心とした発音矯正で日本人の英語スピーキング力の向上に尽力している。RMS:リクルートマネジメントスクール受講者満足度No.1講師。