「グローバル人材育成」はとても大きなテーマであり、これだというような単一の完全な処方箋があるわけではないので、まずはこの「グローバル」という言語の定義を手掛かりに、グローバル人材がどういったものを指すのかを考えてみたいと思います。
グローバル人材とは?
もしグローバルの定義がこうしたものであれば、日本にはすでに多くのグローバル人材が存在していることになります。それにもかかわらず、なぜ今グローバル人材という言葉がことさらに言われるのでしょうか?一つの答えは「グローバル」という定義が「単に海外を相手に仕事をする」以上の意味を持っているからではないでしょうか。つまり、現在の平均的な日本人では海外の動きにリアルタイムで対等に伍していくことが難しく、それを可能にするスキルを持った人が求められているということだと思います。
グローバル人材に必要なスキル
また「批判的思考」と「問題解決能力」のスキルが今後5年間でさらに重要性になると予想され、今年はさらに能動的な学習能力、メンタル的回復力(レジリエンス)、ストレス耐性、柔軟性といった自己管理能力が求められるスキルに加えられました。また労働者の約40%は6カ月以内の再教育が必要になるとのことです。ここでリストされている10の重要スキルを示しておきます。(番号は重要度ではありません)
1. 分析的思考力とイノベーション力
2. アクティブラーニングと学習戦略
3. 複雑な問題の解決能力
4. 批判的思考力と分析力
5. 創造力、独自性、積極性
6. リーダーシップと社会的影響力
7. テクノロジーの使用、監視および管理
8. テクノロジーの設計とプログラミング
9. メンタル的回復力、ストレス耐性と柔軟性
10. 論理的思考、問題解決力および発想力
まとめると、強くて柔軟な精神力、創造的発想力、テクノロジーとの高い親和性、自己学習力、リーダーシップを持つ人というイメージになるのではないでしょうか。
出典:The Future of Jobs Report 2020(世界経済フォーラム)
異文化対応力+外国語によるコミュニケーション
「異文化対応力」とはFuture of Jobs Reportとも一部重なりますが、「強くて柔軟な精神力」と「自己学習力」に異文化に対する興味、現地の歴史、地理、経済、宗教、風俗に対する知識を加えたものです。また「外国語によるコミュニケーション能力」とは、自分と異なる常識を持った人間に信用してもらい、相手を動かすことのできる人間性と、そうした人たちと楽しみながら働ける「図太さ」だと言えます。
さらに日本人は一般にルールを順守し、形式にこだわるため意思決定までに時間がかかりますが、外国企業は目的達成思考が強力で、かつ合理的理由がある限り最短距離を進もうとする傾向があります。そんな異文化を持つ外国企業と対等に伍していくためには、「常識や既存の枠組みを疑う」という型破りさ、そして「前例にとらわれず柔軟に考え、機敏に行動する」フットワーク、そして「素早い意思決定」が必要となるでしょう。「なぜ」と聞いても「決まりだから」としか答えが返ってこない無意味な社内ルール、その企業内でしか通用しないおかしな「常識」などを打ち砕き、乗り越える力も異文化対応力の一つということができるかもしれません。
また最後になりますが、外国人を指導する場合に、チームの理念と目標を伝えるメッセージ力、忍耐力をもって十分な説明とを行える指導力、この人のためなら付いていきたいと思われせる包容力とカリスマも重要となります。
まとめ
1. 異文化対応力
・強くて柔軟な精神力
・自己学習力
・異文化に対する興味
・現地の歴史、地理、経済、宗教、風俗に対する知識
2. 外国語を用いたコミュニケーション能力
・自分と異なる常識を持った人間に信用してもらう力
・自分と異なる常識を持った人間を動かす力
・自分と異なる常識を持った人間と楽しみながら働ける図太さ
・常識や既存の枠組みを疑う型破りさ
・目標や理念を伝えるメッセージ力
・忍耐力を持ってしっかり説明と指導ができる力
・包容力とカリスマ力
上記のスキルのうち、一部は個人的素質と言えますが、中には組織のルールと一部衝突するようなものもあるでしょう。そのためグローバル人材の育成とは、個人の素質を見極めること、そしてその素質を伸ばすことのほかに、組織のルールを積極的に改善しようとする、型破りな人間や多様な常識を持った人間の活動をできるだけ支えられるようなサポートまでも含まれるのでないしょうか。
著書:「異文化理解で変わる ビジネス英会話・チャット 状況・場面115」 (Z会のビジネス英語)
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・異文化理解の重要性
・社員をグローバル人材に育成するための6つのポイント