今回はTOEICを指標にした挫折しない学習目標の立て方(1)の続き、STEP2からお届けします。

 

目次


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具体的かつ測定可能な指標を目標・効果測定にする

 

現状の英語力の把握(特にリーディング・リスニング力の測定)が重要であることはわかりました。では目標設定の際には一体、何に注意をするべきなのでしょうか。

「スピーキングができるようになりたい」という言葉からは、どの程度の英語力レベルを目指しているのか、実際に到達したのかも判断できません。具体的で測定可能な目標を設定しましょう。

また、もし最終目標がTOEIC800点であったとしても、必ず中間目標を設けることが重要です。目標は現在地から遠ければ遠いほど、イメージが湧きづらく、やるべきことの設計も難しくなります。

そのため、目標と現在地との差が大きければ大きいほど、中間指標を多く設けることをおすすめします。

また、中間目標以外にも、学習の節目で英語の試験を効果測定として活用するのも有効です。

例えば、1、2周教材をなんとなくやっただけで、「成果がでなかった」や「教材が良くなかった」とまた別の教材に手を出してしまう学生も少なくありません。

このような学生の場合には、教材終了時に効果測定として試験を実施しましょう。次の学習に進んでも問題ないレベルに到達できたのかを都度確認する習慣を身につけることが重要です。

 

 

実際に英語試験を選定するポイント

 

以下は、現状の英語力の把握及び目標設定のために使用する試験を選ぶときの3つのポイントです。


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受験者数の多い試験は、優良な教材も多い

 

明示的な指標であるために、受験者数が多い英語試験を選びましょう。

受験者数の多さは「対策教材の量と質」に比例しやすいというメリットもあります。多くの受験者がいることでその試験対策のニーズも比例して多くなります。

あわせて市場に出回る教材量も豊富になり競争が生まれます。そのため作り込まれている質の高い教材も多くなる傾向にあります。

ただしIELTSやTOEFLのように、世界的に受験者が多くても日本国内での受験者が少ない試験の場合には注意が必要です。

英語で書かれた教材は豊富にありますが、日本語で書かれた教材は非常に少ないのが現状です。

また国内の受験者数が多い試験であっても、その受験者の平均年齢を把握することをおすすめします。

例えば英検の受験者数は日本国内最大級ですが、大学生・社会人の受験者数が少ないという特徴もあります。

そのため英検の教材は、「中学・高校生向け」に作られているものも少なくありません。

7-3※日本英語教育検定「2019年度実施分志願者数」より
※国際ビジネスコミュニケーション協会「TOEIC DATA & ANALYSIS 2020」(2019年4月〜2020年3月のTOEICプログラムの公開テスト及びIPテストにおける実受験者のデータ)より

 

 

リーディング・リスニング力の測定を優先する

 

次のポイントは、リスニング/リーディングセクションについて、初級者レベルの英語力からでも測定できるものを選定するという点です。

IELTSやTOEFL試験は中級者以上の受験を想定し、スピーキング/ライティングが含まれているため一定のレベルに達してから、利用するのが望ましい試験になります。

また、リスニング/リーディングセクションだけであれば、必ずしも公式試験を受ける必要はありません。市販されている公式問題集で本番さながらの環境で行うことで、必要な時にすぐ測定することができるという手軽さもありますので、その点でもTOEICは非常に活用しやすい試験になります。

 

 

スコアがピンポイントで判定される試験

 

最後のポイントは、合否ではなくスコアで評価される試験かどうかです。

同じ級を合格している受験者であっても、ピンポイントのスコアリングで測定できる試験を受験してもらうと、その英語力にばらつきがでる可能性が高いです。そのため英検などよりも、TOEICを活用することをおすすめします。

 

 

その他にもあるTOEICの利点

 

上記で述べた以外にも年間の受験開催日の多さ(TOEICは10回/年、英検は3回/年)であったり、TOEFLやIELTS試験に比べると半額以下の金額で公式試験の受験ができることも、大学生にとってTOEICが使いやすい理由になります。

また試験自体がビジネスシーンを題材としているため、フォーマルな英語が学べるメリットもあります。

特に、初心者のうちはあまり好ましくないカジュアルな表現や、適切なスラング(俗語)であるのかなどの判断が難しいことを考慮すれば、ビジネスシーンの間違いのない表現を学ぶことができる点もTOEICが評価できる点になります。

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中間目標として目指すべきTOEICのスコア

 

最後に、TOEICを指標にした場合の具体的な中間目標とすべきスコアを確認してみましょう。


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英語初心者はまずTOEIC480点を目指そう

 

STEP1:基礎学習段階(インプット重視)/ 〜TOEIC目安480点
英文法と基礎単語をしっかりと覚えることが最優先の段階です。

また、短い文章の読解にも力を入れる時期になります。文章構造など把握しながら読み進めていく、「精読」の練習を行いましょう。

読解した文章の内容をしっかりと定着させるために、リスニング・音読学習を繰り返し行います。

最終的には、中学・高校英文法と高校までに習う単語がしっかりと理解できることを目指しますが、具体的なTOEICスコアでは、TOEIC480点程度になります。

TOEIC480点というスコアは「基本的な文法・構文は身についており、表現力の不足はあっても、とにかく自分の意思を伝える語彙を備えている。(※2)」と目安にされるスコアになります。

しっかりと中学・高校の基礎知識を理解し、文章読解を行う練習+TOEICの問題形式に慣れることができれば、このTOEIC480点前後のスコア取得は難しい目標ではありません。

またTOEIC480点程度のスコアが取得できれば、TOEIC試験の教材を本格的に使って学習が開始できる時期になりますので、次のステップに進めるための目標スコアとして、しっかりとまずはこのスコアを目指しましょう。

※2)ETS「PROFICIENCY SCALE(TOEICスコアとコミュニケーション能力レベルとの相関表)」より抜粋。

 

 

インプット学習を重視し続ける目安のTOEIC600点

 

STEP2:英語試験を用いた学習(インプット重視)/ 〜TOEIC600点
TOEIC480点〜TOEIC600点(場合によっては700点)までは、TOEICの参考書などを活用しながら、学習を進めていきます。

この段階でも引き続きリスニング・音読学習でパッセージを読み込んでいきます。中・長文のリーディング・リスニング力も、この時期にしっかりと身につけていきましょう。

また、この段階ではインプットした知識を用いて、4〜5行以上のライティング練習も次第にできるようになります。

TOEIC600点(場合によっては700点)以降からは「アウトプット重視」の勉強に切り替えることができるようになるため、大学生にとってはここの段階まで学習を頑張れるかどうかが鍵になります。

 

 

TOEIC600点から学習の幅が広がる

 

STEP3:ニーズに合わせた学習(アウトプット重視)
STEP3からは、自身のニーズに合わせたアカデミックライティングや本格的なスピーキング学習、TOEFLやIELTS試験などの英語中級者以上向けの英語試験対策に挑戦できる段階になります。

ビジネスで英語を利用する(実務で英語を使用する)場合には、多くの場合「正確性と速さ」が求められることを考慮すると、TOEIC600点でも、それらの点にはまだまだ不足を感じるスコアになります。

そのため継続してTOEICで勉強を続けていき、TOEIC700点程度まで英語力を上げてから専門的な単語の習得や、技能練習を行うことをおすすめします。

今までよりも、アウトプット学習の比率が自然と増える時期にはなりますが、知識不足などを感じる場合には、インプット学習も引き続き継続することが大切です。

 


【おわりに】成功の鍵は、現在の英語力と目標を常に意識すること

 

英語を一念発起してはじめる大学生が、学習をはじめる前に目標設定をしていなかったり、目標の設定方法に悩んでいる場合の効果的なアプローチは以下の通りです。

・現在地の把握と設定したい目標を確認する
・英語力向上のための過程を理解する
・最終目標に対して、中間目標を設定する
・英語試験の受験により、明確な指標で測る

もし、学生がTOEIC800点などの高い目標を掲げていても、決して否定せず着実に英語力向上につながる上記の考え方を教えてあげてください。

 

執筆者:WizWe教務部

 

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