今回は就職活動のために英語力を上げたい学生に是非おすすめしてほしい学習方法として初級者から上級者まで幅広く活用できる音読についてお伝えします。

音読は同時通訳界で神様の異名をもった國弘 正雄氏などによって長年支持されている学習方法のひとつであり、その効果の高さは広く認められています。

國弘氏は著書『英会話・ぜったい・音読』の中でも、英語力の向上のために「只管朗読(しかんろうどく)」というひたすらに朗読(音読)をすることを推奨しています。

大学受験英語界のカリスマ講師である安河内 哲也氏や、平易な短文を繰り返し暗唱することで英会話を習得するメソッドを説いた瞬間英作文シリーズの森沢 洋介氏も、國弘氏の只管朗読に影響を受けて、音読学習を推奨しているほどです。

英語力の伸び悩みやTOEICのスコアが中々上がらない大学生でも正しい方法で音読に打ち込めれば、早ければ1ヶ月後にはその効果を体感できます。



目次


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英語習得は音読学習からはじまる

英語脳になるためのトレーニング=音読学習

音読がなぜ重要なのかを一言でいえば、「英語脳」になるためです。

 

ここでいう英語脳とは文章を読んだり話したりする際に英語を英語のままで理解できるようになることです。

多くの英語初中級者は英文を聴いたり読んだり際に、頭の中で一度日本語に訳して理解しようとします。スピーキングの場合には、日本語から英語に訳すようにして話そうとします。

 

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(スピーキングの際に日本語が介在している状況=日本語から訳そうとしている。)


英語に慣れていない最初のうちは、母語である日本語が介在してしまうことは仕方のないことです。

しかし日本語を介在させ続けてしまうといつまで経っても瞬間的なレスポンスや反応ができなくなってしまうのですが、この悩みを解消するために行うべきなのが音読学習なのです。

 

音読は初級者でも効果あり

また音読学習の良いところは英語学習の初級者にも効果が絶大だという点です。

初級者の人でも音読学習を通じて英語脳を鍛えることはもちろんのこと、併せてインプット学習(知識理解・暗記など)を効果的に行うことが可能になります。

例えば下記の文を見なくてもスラスラと言えるようになるまで音読を繰り返すとします。

I played tennis with my friends.(友達たちとテニスをしました。)

そうすると最終的には主語や目的語の単語を変えたり、時制を変えることで何百パターンもの英語の文章を作れるようになるのです。

My little brother played basketball with his classmates yesterday.(私の弟は昨日クラスメートとバスケットボールをしました。)

初心者のうちは、センテンスもそこまで長くないので丸暗記で覚えてしまうほうが、結果的に効果は高くなります。

そのため文法書で出てきた例文なども暗記してしまうくらいに音読で読み込むことをおすすめします。

 

英語脳のイメージがわかない初級者の方へ

学習の初期段階に英語ができるようになるイメージを持てるか否かは非常に重要です。

英語を英語のままで理解できる英語脳が想像しにくい場合には、みなさんも知っている下記の表現を思い浮かべてみましょう。


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これらの表現を言おうと思うとき、日本語から訳さなくても言えたのではないでしょうか。

英語が苦手な方であってもこれらの表現は学校の教科書で何度も繰り返し読んで、聴いて、書いて、話したことがあったはずです。

このように頭で深く考えずともでてくる「Hello」のような言葉や文章を増やすことが、英語脳を鍛えることだと考えてください。

何度も繰り返し読んで、聴いて、話すトレーニングを、音読を通じて積むことで気づくとスラスラと言えるような表現が増えて最終的に英語ができるようになっていくのです。

 


4技能(読む・聴く・話す・書く)全てに効果あり

英語を英語のままで理解できることは英語脳であるとお伝えしましたが、英語のままで理解する力は4つの技能(読む・聴く・話す・書く)の全てに必要になる力です。

例えば、リーディングであれば日本語で本を読むのと同じように、語順をそのままに頭から最後まで読んで瞬時に内容を理解できるようになります。

またリスニングではどんどんと聴こえてくる音声を日本語に訳したりすることなく理解できるようになります。

例えば聴こえてきた単語に対して、after schoolは日本語だと放課後だから…などと意味を思い出している間にも、次から次へと会話の内容は進んでいってしまいますが、そういったこともなくなります。

スピーキングやライティングでも同じく、

What did you eat this morning?(今朝、何を食べましたか?)

という質問に対して答える際には「わたしは、食べた、パンケーキを…」と日本語的に考える時間は実際の会話や書く場面ではないのが現実なのです。

重要なのことは、今はまだ日本語が一度頭の中で介在してしまうプロセスであっても、音読でのトレーニングを積み重ねれば、必ず英語を英語のままで理解できるようになるのです。

 

 

英語を英語のまま理解する力

音読を組み合わせて英語を英語のままで理解できるようになる方法を、英語を理解するプロセスと一緒に解説します。

下記が、英語を理解する際に必要な3つのステップになります。

①文法理解
②音声理解
③意味理解

これらのステップを最初はひとつひとつ順番に行うので、最初のうちは英文を読んだり聴いたりしてもすぐには理解できません。

ですが音読学習を通じて、一度にこれらのステップを行うトレーニングを積むことで英語を英語のまま理解する瞬間的なレスポンスが次第にできるようになるのです。

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英語を理解するプロセスとは(文法・音声・意味)

例えば、みなさんは以下の英文を理解できますでしょうか。ここでは英語を理解するプロセスについて具体的な例で解説していきます。

 

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(1)文法的な理解


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第一にどんな文章であっても正しく理解するためには文法的な理解が必須になります。

文法的な理解の中でも特に初級者にとって大事なのは英語の基本5文型です。

英語の文章は基本的に上記の5つのパターンに分類されるので、事前に文法的な理解を深めておくことで、その後に続く文章の予測がある程度つけられるようになります。

また文型は英文の骨格部分のようなものなので、単語が難解なものに変わったとしても骨格部分がしっかりと理解できている人は、文型の知識を頼りに読み進めることができるのです。

なので初級者のうちから簡単な文であってもどの文型の文章を読んでいるのかをしっかりと把握して読み進めることをおすすめします。

 


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では実際に先ほどの文章をまずは文法的に読み解いてみます。

①文型把握
・文型は第3文型(SVO)
(※主語・動詞・目的語がそれぞれどの単語なのかまで考えましょう。)

②時制の把握
・過去形

③冠詞の把握
・不定冠詞(a)

今回はここまで把握できたら「私はOを見た」というところまで理解を深められると思います。

万が一、squirrelという単語がわからなくても「何かを見たのだな」というところまで文型をヒントに導けることが重要です。

その他にも前置詞が出てきた時や接続詞がでてきた場合にもなんとなく読み進めずに、文の中でどんな働きをしているのかを理解しましょう。

 


(2)音声的な理解

9-4※説明の便宜上、カタカナで読み方を振っていますが、正しくは発音記号の発音を参照ください。

 


次に音声的な理解をします。squirrelという単語が読めなかった人もいるかと思いますが、読めない言葉はその意味も理解できていない場合が多いので注意が必要です。

多くの場合、綴りや音に意味をあわせて覚えますので、squirrelという音自体を覚えていないということは、同時にsquirrelの意味も覚えられていない可能性が高くなります。

これについては日本語でも同じことが言えます。例えば「兀兀」「覿面」という難読漢字を例に挙げて考えてみましょう。

これらの漢字を単独で読める方のほうが少ないと思いますが、これらを文章の中で使用してみると「兀兀(コツコツ)と音読学習をする」「音読学習の効果は覿面(てきめん)だ」となります。

たとえ日常的にもよく知っていて使っている言葉であっても、普段見慣れない漢字で読めなくなった途端に当然のことながら意味をその音に結びつけることができなくなってしまうのです。


(3)意味的理解
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意味の理解は単純に単語や句の意味が理解できるかになります。(※1)

単語学習は初級者であってもその日からすぐにはじめられて即効性も非常に高いので、特に最初のうちは毎日1単語でも多く覚えることが重要です。

単語を覚えるときには先ほどのようにしっかり発音と意味をセットで覚えることが重要です。(綴りについては、時間の制約もあるのでまずは発音できることを優先します。)

そのため単語を覚えるときにも音が身につくまでは、声に出して発音をするようにしましょう。

※1)①文法的な理解を行なった後に意味の理解を行なっても良いのですが、音声が全く理解できていない場合には意味をセットで覚えるのが難しくなるため先に音声を聴くことを推奨しています。

 


英語を理解するプロセスを瞬間的に行うための訓練こそ音読

この3つ(文法理解・音声理解・意味理解)のSTEPを踏むとI saw a squirrel.(私は1匹のリスを見ました)という発言がはじめて理解できるようになるのです。


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そのため文法理解・音声理解・意味理解の練習もせずに、洋画を見続けたらある日突然英語が聴き取れるようになるといったことは残念ながらありえないのです。

次は音読の際に学生がやりがちなNGポイントをお伝えします。正しい音読のやり方を身につけて音読の習慣化を目指しましょう。

 

 

音読で気をつけたい3つのポイント

音読は正しいルールで行わなければその効果は半減してしまいます。

以下では音読学習を行う際に押さえたい大事な3つのポイントをお伝えしていきます。

 


①理解した文・文章で音読を行う

繰り返しになりますが、文法理解・音声理解・意味理解をした文章に対して音読を行うことが最重要ポイントです。

理解できていない文章を沢山音読しても、それはただアルファベットを声に出して読んでいるだけなので効果はほとんどありません。

先ほどの例文のようなシンプルな文であっても、必ず文型や冠詞、時制、前置詞などの文法項目を意識し、文章の意味がわかっていることが重要です。

また、音読の前にはリスニングで正しい発音をよく聴きそれにならって音読を行います。そのため音声がついている教材を使用することを推奨します。

自分流の発音では当然リスニングでも正しく聴き取れず、スピーキングでも決して伝わらなくなってしまうので音声はしっかりと聴きましょう。

これらのポイントを全て意識すると、英語学習を始めたばかりの方にとっては、長くても2〜3行の文章を音読するのが限界です。

例え1行の短い文章でも意識しながら自分が本当にその言葉を使う気になって音読を行うことが、英語習得の鍵です。

 


②少なくとも30〜50回は同じ文章を音読する

1つの文や文章に対して最低でも30〜50回の音読を行うことを推奨します。復習のサイクルを確立して、その日だけでたくさん読むのではなく、何日に渡っても同じ文章を音読するようにします。

1日に50回やるよりも、5日間毎日10回ずつ読む方が定着率は上がっていきます。

しっかり読解もやって理解できていると思っても目指すところは日本語を介在させないレベルでの処理になりますので何度も同じ文章を音読しましょう。

口から音を発したのと同時に意味を後ろから返り読みせず、自然と意味が取れる状態が音読を続けていると必ず訪れます。

多すぎるかなと感じるくらい音読を行うことが重要です。

 


③最初はゆっくり理解できる速度で読む

はじめからリスニングの音声のように音読ができる必要はありません。大事なのは自分が理解できる速度で読むことです。

読解をした文章でも音読をしながら意味を把握して読もうとすると意外に難しいものです。

意味を見失ってしまったり、読んだ後に意味が追えてなかったことに気づくこともあると思います。その場合にはできる限り速度を落として、焦らずに音読をしましょう。

また文型や意味を把握できていない音読は意味の切れ目や区切りを無視して変なところで止まったり、区切るべきところでもそのまま音を続けて読みがちなので注意が必要です。

練習を毎日続けていれば、例えTOEICの教材であったとしてもリスニングの音声と同じ速度で必ず音読できるようになります。

TOEICのリスニング音源と同じ速度で音読ができるようにまでなってくると、だんだんと読めたり聴き取れたりする部分が増えてきてTOEICの点数も飛躍的に上がります。

 


【おわりに】毎日の音読トレーニングで英語力は確実に上がる

即効性が高くどのレベルにも、4技能の全てに効く学習方法を問われればそれは間違いなく音読です。

英語初級者の学生でも、簡単な文章の音読を習慣化させて文法理解・音声理解・意味理解の練習をひたすら繰り返すことで英語力の基礎を確実に身につけることができます。

そしてTOEIC480点前後を目処にTOEIC教材を使用して読解・音読を繰り返すことでTOEICのスコアも音読学習を通じて上げていくことが可能です。

なによりも音読をはじめて1ヶ月後には明らかに英語が頭に入ってくる時の感覚が変わります。また3ヶ月〜半年も続ければスピーキングの際に英語が自然と出てくる感覚すら感じることができます。

英語力向上に悩んでいたり目標のTOEICスコア取得を目指す学生がいれば、ぜひ音読学習をご紹介頂ければと思います。

 

 

執筆者:WizWe教務部

 

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