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<企業向け英語研修>ビジネス英語力とは英語力のことではない! TOEIC学習のその先に……

作成者: owner|2022.10.4

この記事のタイトル「ビジネス英語力とは英語力のことではない」を読んで「どういうこと?」と思った方は多いでしょう。

ビジネス英語と言えば、多くの人がTOEIC Part 3に出てくるビジネスパーソンによる英会話を思い浮かべます。しかしビジネスで英語を使っている方は「現場で必要なのは英単語力や文法力以上にTPOに合わせた適切な立ち振る舞いだ」と言います。英単語、英文法だけを学んで、英語を使って活躍するビジネスパーソンにはなれないと言うことが分かりますね。では英語力以上に必要なスキルとは何でしょうか。

割り込み力を磨こう

コミュニケーションは文化的な規範を考慮して行われます。欧米文化は主張の文化だと聞いたことがあるでしょう。そのため欧米人と対比すると日本人が「主張しない」と言われるのは仕方がないかもしれません。しかし、実はノンネイティブの間でも一般的に日本人は「おとなしい」という評価を受けがちです。これは日本語でのコミュニケーションでは和を重んじ、言い過ぎないようにする美徳があるからです。

英語はリンガフランカ(共通語)なので必ずしも英語圏の文化に合わせる必要性はありませんが、それでも実は世界の多くの文化において、積極性を重んじ、主張をはっきりすることが良いとされています。そのためグローバルチームの中でうまくやっていくためには、日本人は自ら話しかけたり、話に割り込むスキルが求められていることを意識する必要があります。会議ではMay I?と聞いて割り込んだり、If I may… と言って、一瞬の静けさを見つけた瞬間に話し出す練習が必要です。

また、これは社交性の有無によっても練習の必要性が異なりますが、多くの日本人が苦手としているsmall talk(雑談)力を磨くことがビジネスには必要不可欠です。ビジネスでは、コネが役立つ場面が多いものです。多くの人と知り合いになるために、自分の存在感を出すための声がけをしましょう。リアルな場面であれば話をしている人たちのほうへ行き、Hi, may I join the conversation?「会話に入れてください」と笑顔で声がけをしてみてください。そのあとに自己紹介をして会話の輪に入ります。

昨今主流となっているオンラインコミュニケーションですとネイティブ同士でも割り込みにくいのが実情です。そんなときはまずは笑顔で話を聞いていて、同じ話題で割り込めそうなタイミングを見計らいます。例えば、他の人が「今日は良い天気だ」といった話をしていたら、Tokyo is beautiful today, too.「東京も今日はすばらしい天気です」またはTokyo is really gloomy today.「東京は今日はどんよりしています」といった割り込みができます。

教養を身につけよう

英語圏の人たちと仕事をする場合は、どうしてもネイティブに押されがちになります。また、あなたの英語が上級であれば上級であるほど、ネイティブは容赦なく英語を使ってくるでしょう。そのために常に英語力に磨きをかけ続けなくてはいけません。

先日私に届いたあるDM(ダイレクトメール)にはこんな表現がありました。” Yuka, you're the crème de la crème of credit.” このDMはどのような会社から来たものか英語表現からわかりますでしょうか。crème de la crèmeは「一流の」という意味です。実はクレジットカードの案内なのです。「あなたは信用スコアが高いからこんなクレジットカードをご準備できます。いかがでしょうか」というオファーです。

こういったフランス語由来の表現は英語にかなり多いです。何かがうまくいかないときに、励ましとしてC'est la vie!「人生そんなものだ。いろいろあるけどがんばろう!」という声がけをされることもあります。またThat’s a cultural faux pas.と指摘を受けたら「それは文化的に絶対NGなこと」という意味。このように英語上級者は英語圏で使われるフランス語由来の表現も勉強すると良いでしょう。

また、キリスト教の影響を受けた表現も多々あります。宗教としてというよりも教養として聖書の中に出てくるお話を知っておくと英語表現を覚えておきやすいです。例えばthe keys to the kingdomは大きな力を与えるような知識や情報を意味します。またthe writing on the wallと言えば失敗や不吉なことの前兆を意味しますが、いずれも聖書の話に由来した表現です。共にビジネスシーンで使われることがあります。the keys to the kingdomは天国への鍵のことを指し、the writing on the wallはバビロンの王ベルシャザルがこれから堕ちることを、壁に描かれた文字が予言したことに由来します。

こういった表現はドラマや映画にちょこちょこ出てきてます。出会ったときに疑問をもってメモをとって調べていくと記憶に残りやすいでしょう。上級者になったら単語本で学ぶよりも自ら疑問に思ったタイミングで教養を増やしていくように心がけてくださいね。

ビジネスに本当に必要なのは適応力と洞察力!英語を使うようになったら、日頃コミュニケーションをとっている人たちがどのような表現をどのような表情やボディランゲージと一緒に使っているかを観察し、自分も同じような立ち振る舞いができるように徐々に慣れていきましょう。

 

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。HR部門への異動が叶わず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

著書:『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション』『英語の数字ルールブック』『ビジネス英語リーディングの技術

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