仕事で英語力の向上やTOEIC スコアの取得が必要になってしまった社会人の方に向けて、「無計画に英語の勉強をはじめてしまい、1ヶ月ももたずに挫折してしまう」というありがちな失敗パターンを回避する方法をメインテーマにお伝えしていきます。

特にこんな悩みをもった方への記事です

・英語が苦手だけど、仕事のためにTOEICで600点以上を取得しなければいけない

・ビジネススピーキング力を身につける必要があるが、何からすべきかわからない
・基礎力がない段階から、最終的にはビジネスでの英語使用を目指したい
※今回は初級~中級(TOEIC650程度)までの学習者向けの内容になります。

【はじめに】社会人の英語学習の現状

この記事を読んでいる方の中には、会社から英語力の向上を期待されて勉強をしなければいけなくなってしまった方も少なくないと思います。

しかし国際ビジネスコミュニケーション協会の「英語活用実態調査2019」の報告によれば、英語の勉強を普段からできている社会人の方が圧倒的に少ないのが現状です。

2-May-17-2021-08-29-54-70-AM※国際ビジネスコミュニケーション協会「TOEIC(R) Programを活用している企業・団体における英語教育・英語活用の実態調査とビジネスパーソンの職場での英語に対する意識についての調査(2019)」より

上記の数値から、日々の仕事と両立しながら英語学習を続けることが、いかに難しいことなのかがわかります。

しかし学習をはじめる前に正しい学習計画をたてることができれば、日ごと・週ごと・月ごとのTo doを可視化できるので忙しい中でもTo doをこなす時間を見つけやすく、漠然と学習を行うよりも格段に挫折率を下げることができます。

この可視化された学習計画を検討するためには、ファーストステップとして正しい学習目標の設定が必要になります。

本記事ではこの実現可能性の高い学習目標の設定方法に焦点をあてて解説していきます。特に、英語学習をこれからはじめようとする方は必見です。

目次 

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正しい現状把握・目標設定こそ成功の鍵

「現状の把握」と「目標設定」のない学習は失敗する

いざ英語の勉強をはじめる際に、多くの社会人の方がやってしまいがちなNG行動があります。

それは「とりあえず本屋さんに行って、その場で参考書を買ってしまう」ことです。

やる気のあるうちに行動するのは重要ですが、自分の英語力をしっかり確認することなく、いきなり参考書を購入するとどうなってしまうでしょうか。

成し遂げたい目標を意識するあまり、自身の英語力に見合わないTOEIC800点を目指す教材やビジネススピーキングの教材から手をつけてしまうかもしれません。

またときにはすでに理解できている内容が記載された参考書を購入してしまっていたことに後から気づいてしまうなんてこともあるでしょう。

いずれの場合でも、現時点のレベルと教材の難易度が合わずに、結局使わなくなってしまうことも少なくありません。

学習の効率化と継続のための現状の把握・目標設定

英語学習をはじめる際に必ず行わなければいけないのは現状の英語力の把握と正しい目標設定(=最終目標と中間目標の設定)です。

現状の英語力の把握と目標設定を合わせて行うことで学習範囲の「抜けもれ」「重複」を最大限回避できるという利点があります。

4-3例えば現状把握をしっかり行わずに、すでに理解できている英文法の単元を何度も複数冊の参考書で学ぶことは、勉強した気にはなりますが無駄の多い勉強です。

一方で、わからない部分があるにも関わらず、発展的な内容を先に勉強するのも、効率が悪い学習方法です。
(例:現在完了形が理解できていない中で、未来完了形の項目を勉強する。)

また、学習の効率面のみならず、学習範囲の「抜けもれ」「重複」は学習者のモチベーションを低下させる原因でもあります。

自分の英語力のレベルよりも平易で、よく理解できている内容を何度も繰り返し学習したところで達成感や満足感は決して満たされません。

あるいは、わからないところをそのままに学習を続けてしまうことで、理解できない内容がどんどん増えてしまうこともあるでしょう。その結果、学習負荷が増大しすぎてしまい、結局挫折してしまうのです。

このように学習の効率化と継続の観点から、英語の勉強をはじめる前に必ず目標設定と合わせて、現状の英語力の把握を行うことが重要です。

現在の英語力の把握と目標設定には「英語試験」を活用しよう

では実際に、現状の英語力の把握と目標設定の方法をお伝えします。

5結論として、現在の英語力の把握と目標の設定には、英語試験(特にビジネスマンの方であればTOEIC Listening & Reading Test)のスコアを活用しましょう。(※1)

TOEICL&Rではスピーキング力やライティング力は測れないという声や、スピーキング力を付けたいのに・・・と思われる方もいるかもしれません。

この疑問に回答するためにも、以下では英語学習者が知っておくべき言語習得の過程について解説したいと思います。
※1)TOEICで400点以下のスコアだった人は、TOEIC Bridge Listening & Reading Tests(以下TOEIC Bridge)で英語力を測ることをお勧めします。より正確な現在の英語力を知ることができます。

英語学習はインプット学習とアウトプット学習に大別される

語学学習はインプット学習とアウトプット学習の2つに大別されます。

インプット学習は、文法や単語の暗記、リーディングやリスニングの学習などの、自分の知識や理解として蓄積をはかる学習です。

一方で、アウトプット学習の代表格はライティングやスピーキング学習です。学んだ知識を必要に応じて頭の中で組み合わせて英語で話したり、書いたりすることを意味します。

ここで重要なのは「スピーキング向上ならアウトプット学習をする」という単純なことではなく、インプット学習とアウトプット学習はあくまでセットであり、学習する際の望ましい順序があるという点です。

英語習得までの過程を理解する(U字型発達曲線)

この英語習得の過程(順序)についてはKellerman(1985)のU-shaped development(いわゆる「U字型発達曲線」)では、以下のように示されています。

6※Kellerman(1985)U-shaped development」より参照 

この説によれば、以下のような流れで第二言語の習得は進むと考えられます。

英語習得過程①(徹底的なインプット)

学習の過程において、最初に学習者が行うべきはインプット学習です。

わからない文法項目を学んで理解したり、英単語を暗記するだけではなく、簡単な文章を繰り返し音読して、文章の型やパターンを覚えることもこの時期に行うべき学習です。

英語初心者であればあるほど、学習の序盤にインプットすべき内容は多くなります。

また、単語や文などを一字一句を暗記することも多いため、アウトプットする場面でも、暗記したものをそのまま発話するため、文法などの間違い(エラー)が比較的少ない時期です。

英語習得過程②(トライ&エラー)

英語に関する基礎知識が増えてきたところで、次に第2段階のトライ&エラーの段階になります。

暗記して覚えたこと・学んだことから自分なりに一定の規則を見出そうとする時期になるので、ただ丸暗記をしていた時期に比べて、間違い(エラー)が多くなる時期であるのが特徴です。

また、今までは間違えなかった問題に関しても、他で覚えた英文法の規則に引っ張られてしまうことで、間違った語法や語彙使用などが起こりやすい時期です。

ただし、第1段階で必死に学んだことを自分の頭の中で定着させて、整理しようとしている段階なので、頭の中での整理が進めば、次の正確なアウトプット段階に進んでいきます。

英語習得過程③(正確なアウトプット)

学んだことが頭の中でも整理されて、エラーが少しずつ減っていきアウトプットの精度が高まっていく時期です。

大量にインプットしてきた知識や単語を用いて、練習を繰り返すことで精度の高いスピーキングやライティングが習得できるようになります。

これらの一連の学習プロセスを踏まえると、英語学習の序盤にあたる「インプット学習」の習熟度を把握することで、これからの学習計画の中でインプット学習をどの程度の比率に設定すべきかの検討ができるようになります。

リーディング・リスニング力のインプット学習の測定を優先することで学習過程の前半で力を入れるべきインプット学習の段階の「抜けもれ」や「重複」を防ぐ意図があるのです。

 


STEP2、STEP3は、TOEICを指標にした挫折しない学習目標の立て方(2)へ続く

執筆者:WizWe教務部

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