現在、TOEIC L&Rテストには、マークシート版とオンライン版があります。マークシート版は、公開テスト・IPテストともに、リスニング100問(約45分)、リーディング100問(75分)の約2時間のテストで、解答はすべてマークシートに記入します。一方で、オンライン版は、IPテストのみの受験となり、リスニング45問(約25分)、リーディング45問(37分)の約1時間のテストでコンピュータを使って受験します。オンラインTOEICは、問題数の面でも時間の面でも約半分で実施できるという運営面でのメリットもありますが、受験者、特に初級者にとっても様々なメリットがあり、それが本来のスコアを取ることへとつながるケースが多くあります。 

 

 もちろん、マークシート版のテストも実力に応じて上手に受験することで本来のスコアを取ることができますが、英語力を発揮できないままテストを終えている受験者も少なくありません。その最も大きな原因が、「初級者も上級者も同じ問題に取り組む」というテストの特徴にあります。リスニングもリーディングも易しい問題から難しい問題まで出題されます。中級者以上になると、出題される問題の多くに解ける中で、一部難しいと感じる問題や、全く答えがわからない問題に遭遇します。一方で、初級者にとっては登場する問題の多くが「?」という状況で、その中から解けそうな問題に正解することが求められます。TOEIC L&Rテストは正解数に基づいてスコアが決まるため、上級者の正解数は多く、初級者の正解数は少なくなりますが、同じ時間帯に同じ会場で受けるテストであれば、全く同じ問題ですが、上級者と初級者それぞれにかかる負荷は大きく異なります。その結果、初級者は実力が出せないケースが少なくありません。 

 

 初級者にとって、それなりのスピードで流れてくる英語を約45分聞き続けることは、大きな負荷を伴いますし、リスニングの時間だけで疲れてしまうでしょう。また、目の前の問題に取り組んでいても、多くが実力を超えるものであり、悩んでも解けないものに時間を費やすことが多くなり、その結果最後まで全く終わらないという状況に陥ります。これでは実力がスコアに反映されているとは言いづらいでしょう。 

 

 このような初級者にとってのデメリットを軽減するのが、オンライン版のTOEICです。なぜ、デメリットが軽減できるのか、理由は以下の4つです。 

 

1.マークシート版の半分の時間である 

2.レベルに合った難易度の問題が出題される 

3.イヤホン/ヘッドホンが使える 

4.いつでも受験できる 

 

これらを1つずつご説明します。 

 1.マークシート版の半分の時間である 

 テスト時間が約2時間のマークシート版に対して、オンライン版は約半分の1時間程度です。そのため、疲労度も半分で済むことから、集中力の低下や疲労が原因となり実力が出せないことが減ります。 

 

2.レベルに合った難易度の問題が出題される 

 マークシート版のテストでは、初級者も上級者も同じ問題に取り組むことになりますが、オンライン版では、リスニング・リーディングともにUnit 125問の正解数によって、Unit 220問の難易度が変わります。Unit 1である程度正解できる上級者は、Unit 2でさらに難易度の高い問題に取り組むことになりますが、Unit 1でも正解数が少ない初級者は、Unit 2では難易度の低い問題に取り組むことになります。その結果、負荷が下がることになり、Unit 1よりも理解できる問題にあたることが多く、すでに身についている英語力を発揮しやすくなるというメリットがあります。初級者にとっては、マークシート版と比べると、「できなかった感」が圧倒的に少ないのがオンライン版の特徴です。 

 

3.イヤホン/ヘッドホンが使える 

 マークシート版の場合は、複数人数が一斉に受けるため、スピーカーから流れてくる音声を聞くことが多いでしょう。すると、周りの雑音なども一緒に聞こえてくるため、集中がそがれるケースも少なくありません。一方で、オンライン版は1人1台のパソコンで受験するため、イヤホンやヘッドホンを使って受験することができます。そのため、外部の雑音をシャットアウトすることができ、より集中しやすい環境で受験することができます。 

 

4.いつでも受験できる 

 マークシート版は公開テストでもIPテストでも、決まった時間に受験します。社内IPテストの場合、就業後に受験するケースがほとんどかもしれません。就業後ということは、その日1番疲れている時に、さらに2時間のテストを受験することになるため、開始の時点で疲労が溜まっている場合も多いでしょう。一方で、オンライン版は24時間いつでも受験できるため、好きな時間を選んで受験できるメリットがあります。早朝や各自が集中できる時を選んで受験することで、実力を出しやすくなります。 

 

 基本的には、マークシート版で600点以上を取得している人にとっては、オンライン版のスコアも変わらないことが多いようです。しかし、マークシート版で500点未満の方にとっては、オンライン版のスコアのほうが高くなるケースがあります。これは、「マークシート版だと英語力が正確に測れない」とか「オンライン版はスコアが取りやすい」ということではなく、上で述べた理由によって、実力を発揮しやすいということなのです。   

 

kaisya_man

 

 

なぜTOEICのスコアが高いのに英語を話せないのか

適切なTOEICスコア設定とTOEICプログラム活用法

英会話ができてもスピーキングテストで高得点を取れない理由

手軽にできるスピーキング力の高め方

短期間で大幅にTOEICスコアアップする人・しない人

モチベーションと意志に頼らない英語学習継続術

英語に対する「苦手意識」を払拭する方法

英語力不足による機会損失を考える

TOEICスコアアップのための正しい学習法

英語研修の必要性

社内スキル共有に効果的なロールプレイ

初級~中級レベルの学習&測定に効果的なTOEIC Bridgeテスト活用法

英語学習の挫折を防ぐ方法

 

 

 

rj_189_プロフィール画像最新著者:早川 幸治 氏
株式会社ラーニングコネクションズ 代表取締役 
SEから英会話講師へ転身。その後、TOEIC対策を中心とした英語セミナー講師として、これまで大手企業からベンチャー企業まで全国約200社での研修を担当してきたほか、大学や高校でも教える。脳や心の仕組みを活用した学習法を提唱し、上達の本質を英語学習に応用している。高校2年で英検4級不合格から英語学習をスタート。苦手意識を克服した後、TOEIC 990点(満点)、英検1級。著書に「TOEICテスト 書き込みドリル」シリーズ(桐原書店)、「TOEICテスト 究極のゼミ Part 3 & 4」(アルク)、「2カ月で攻略!TOEIC L&Rテスト 730点!」(アルク)など50冊以上。雑誌連載のほか、企業における学習コンサルティング、セブ島留学TOEICプログラム監修、日本語プレゼンテーション(伝える技術)研修も担当。2011年5月から毎日英単語メルマガ「ボキャブラリーブースター」を配信中。

早川幸治オフィシャルサイト:https://kojihayakawa.jp/

 

■早川幸治先生登壇のセミナーレポートはこちら

【ワンステップ上の英語研修】習慣化で実践力を身につける英語学習の仕組み

 

 

Smart Habit Enterpriseの資料ダウンロードはこちらから