1998年9月にラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの二人のスタンフォード大学院生が設立したGoogle。設立から23年を経た現在、Googleは年間売上高1825億ドル(約20兆750億円、2020年度)、時価総額1兆6820億ドル(約185兆200億円)、従業員数13万9995人という、アメリカを代表する巨大メガテック企業に成長しました。そんなGoogleですが、気になるのは人事。Googleの採用担当者は応募者の何を見て、何を評価しているのでしょうか。

年間200万人以上が応募してくるGoogle

 

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アメリカの経済誌『Inc』によると、Googleには毎年200万人以上が職を求めて応募してくるそうです。Googleの年間採用者数は2000人程度とされていますので、Googleに採用される人の割合は応募者全体のわずか0.1%です。

しかもGoogleに応募してくる人の多くはマサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学などの名門大学出身者や、マイクロソフトやAppleといった他の一流メガテック企業の出身者です。端的に言って、普通の市井の人がGoogleに採用される確率は、ほぼゼロに等しいと言っていいでしょう。

 


Googleの面接試験で聞かれる質問とは?


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一般人には想像も出来ないようなGoogleの採用現場ですが、そこでは一体どんなやり取りが行われているのでしょうか。アメリカの大手求人情報サイト「グラスドア(Glassdoor)」には、Googleで面接を受けた人が、実際に面接官に聞かれた質問を多数投稿しています。その中からユニークなものをいくつかご紹介します。

1.「あなたが最も好きなGoogle製品はなんですか?あなたはそれをどのように進化させますか?」

-------アソシエイト・プロダクトマネジャーへ応募した人への質問

2.「あなたが職場へ犬を連れてゆくことを希望し、しかしチームメンバーの一人が犬アレルギーだった場合、あなたはどうしますか?」

-------アソシエイト・アカウントストラテジストへ応募した人への質問

3.「この建物からの脱出計画を立案して下さい」

-------ビジネスアナリストへ応募した人への質問

4.「ボストンにおいては、花屋と葬儀場のどちらの方がより広告出稿の可能性があると思いますか?」

-------アカウントストラテジストへ応募した人への質問

5.「干し草の山の中から一本の針を探し出す方法を、あなたはどのくらい思い付きますか?」

-------ビジネスアソシエイトに応募した人への質問

6.「7歳の子供に、アドワーズとは何か説明して下さい」

-------アソシエイト・アカウントストラテジストへ応募した人への質問。アドワーズとはGoogleが販売している主力広告製品

7.「HTML5の重要性について、まずはラリー・ペイジに対して説明し、次に私の祖母に対して説明して下さい」

-------クリエイティブスペシャリストへ応募した人への質問

8.「10億ドルの予算と宇宙船が与えられたとして、あなたは人類最大の危機をどのように回避しますか?」

-------データベース管理者へ応募した人への質問

9.「あなたはサンフランシスコのホームレス問題をどうやって解決しますか?」

-------プロダクトマネジャーへ応募した人への質問

まだまだ枚挙に暇がないのですが、この辺で止めておきましょう。いずれも応募者の「創造性(Creativity)」を問う質問ばかりです。単に知識やスキルを問うだけでなく、Googleでは創造性を重視していることがうかがえます。

 


Googleが重視することとは?


チームワーク
Googleで15年間グローバルパートナーシップ担当副社長を務めているボニータ・ステュワート氏は、Googleの人材評価について次のように説明しています。

「Googleでは、適切な人材を採用するために、職種に関連する知識、リーダーシップ、そして多様なものの見方に関する、極めて高い基準と要求事項を定めています。それと共に、私が4Cと呼ぶものも求めています。すなわちConcentration(集中力)、 Culture(カルチャー)、 Courage(勇気)、 そして Character(性格)です」

「我々はまた、”I”(私)という言葉よりも”We”という言葉をより多く使う人を尊敬します。我々は全員、ひとりで大きな成功をおさめることは出来ないからです。なんでもかんでも自分一人の力でやり遂げましたという人は信じられません。なぜなら、その人はそう言う時点で自分はチームプレーヤーではないと宣言しているからです」

Googleという会社のイメージとしては、社内に複数の天才がいて、彼彼女らが強烈な能力で画期的な製品を生み出していると考えがちです。しかし、実際には個人の能力と同様に、「性格」や「チームプレー」も重要だというのです。多様な個性や才能を持つ個人がチームを構成し、チームとして大きな仕事をしているというのがどうやら実態のようです。

 


気になるGoogleのサラリーは?


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ところで、そんなGoogleのサラリーは一体いくらくらいなのでしょうか。アメリカの労働者の給与額をデータベース化しているペイスケール(PayScale)によると、Googleのアカウントマネージャーの平均給与額が79,713ドル(約876万円)、リクルーターの平均給与額が72,856ドル(約801万円)となっています。いずれも文系の職種ですが、驚くような高給ではないようです。

一方、技術系のポジションは高めに設定されています。例えば、ソフトウェアエンジニア121,597ドル(約1337万円)、データサイエンティスト131,691ドル(約1448万円)、ソフトウェア・プロダクトマネジャー141,294ドル(約1554万円)となっています。アメリカでは現在、エンジニアなどのIT系人材の不足が慢性化していますが、そうした事情が技術系労働者の給与を押し上げているようです。

なお、アメリカでコロナのワクチン接種が進む中、Googleも社員にリモートワークからオフィス勤務に戻るよう呼びかけ始めているそうです。ただし、コロナ感染防止のため、名物のビュッフェ形式の無料食堂は休業中だそうです。

 


<参照>
https://www.inc.com/business-insider/google-hardest-interview-questions.html
https://www.bestinterviewquestion.com/google-interview-questions
https://www.cnbc.com/2021/02/08/want-a-job-at-google-a-vp-shares-6-things-to-say-during-job-interviews.html

 

 

 

maeda002著者:前田 健二(まえだ・けんじ)
株式会社ジェイシーズ上席執行役員・北米担当コンサルタント

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスで外食ビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年に経営コンサルタントとして独立。事業再生、新規事業立上げ、アメリカ市場開拓のコンサルティングを行っている。アメリカ在住通算七年で、現在も現地の最新情報を取得し、各種メディアで発信している。米国でベストセラーとなった名著『インバウンドマーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

 

株式会社ジェイシーズ  https://j-seeds.jp/

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