新人教育は3年間と考えていて、3年目のときに海外実習に行くというのが一つのゴールです。英語に関してはそこに向けてトレーニングをしていくのですが、今までは特段実施していませんでした。アセスメントだけ定期的に何回か実施していて、その結果で海外実習に行けるかどうかが決まるという形でした。ただ、新人の中でも英語ができるメンバーとそうでないメンバーがいます。英語ができないメンバーが半数以上いるため、何かしらトレーニングをしたほうがいいよねというところが大きな課題としてありました。
CASE
導入事例
研修内容 | 英語研修 |
実施期間 | 2020年7月17日~11月16日(4か月) |
対象 | 新入社員 |
実施部署 | 営業部 |
語学レベル | TOEIC 300~500点台 |
場所 | 国内全国の拠点 |
人数 | 47名/9チーム |
内容 | 学習コンテンツ:①スタディサプリ ②オンライン英会話WiLLies English |
成果 | 完了率①37%、7名/19名中 |
本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞や場所等は研修当時のものです。
新人教育は3年間と考えていて、3年目のときに海外実習に行くというのが一つのゴールです。英語に関してはそこに向けてトレーニングをしていくのですが、今までは特段実施していませんでした。アセスメントだけ定期的に何回か実施していて、その結果で海外実習に行けるかどうかが決まるという形でした。ただ、新人の中でも英語ができるメンバーとそうでないメンバーがいます。英語ができないメンバーが半数以上いるため、何かしらトレーニングをしたほうがいいよねというところが大きな課題としてありました。
会社の方針としては、英語学習を会社のお金を使って単純に実施するというところに関してはあまりポジティブでははく、グローバル企業だから、それは自己研鑽でやるものだよねというところでした。ただ1年目で比較的まだ時間的な余裕もある中で、英語に関しては早めに勉強したほうが、その後いろいろな活用やキャリアに広がっていくという観点もあります。最終的には、このリモートの環境下もあって、早めに英語力を引き上げるというところも含めて、これは投資をしたほうがいいのではないかという判断をしました。
本来であれば今年度、海外実習に行くはずだったメンバーの状況をヒアリングすると、日常的に英語を使っているのは3~4割ぐらいです。残りの5~6割に関しては、英語力があったとしても使う機会がないというような形になると思います。とはいえ、環境はどんどん変わっていて、海外に駐在する人は英語を使うとか、一部の部署が使うというのは、恐らくどんどん変わってくると思います。ですから、これから新しいことやっていきますよというときに、英語ができるのかというのが、アサインの基準であったり、キャリア形成の基準になってきたりします。ですから、これからを見据えると、今、自分の仕事で使うかどうかというのは置いておいたとしても、英語を勉強しておかないとネガティブな評価をされることは間違いなくでてくるので、取り組んでいるというところです。
まず、個人学習はなかなか投資対効果がうまく出ないというところがあります。それに対して、チーム学習で影響し合いながら学習するということであれば効果が上がるのではないかというのが一点。あとは、このフルリモートの環境下で、新人同士のコミュニケーション活性化が英語研修を通してできるといいなというところですね。この二つが主に導入の決め手となりました。
明確にTOEICで何点というところは目標に置いておらず、新人教育の3年間で海外実習に行けるスピーキングのレベルを達成するというところがゴールです。ですから、この4カ月間の短期でこうならなければならないという設定はしておらず、最終的に4カ月終わった後のスピーキングテストで、それに合格するというところがゴールという設定の仕方です。
目標というところでいくと、スピーキングテストに関しては合格者が増えるということはなかったですね。ただ今回、スタディサプリとWiLLies Englishでそれぞれ学習してもらって、CASECのスコアは上がっていましたし、スピーキングテストも、ランクとしては合格に達しなかったのですが、ボキャブラリー、流ちょうさなど、それぞれの項目で見ると上がっている人は見受けられました。結構な人数いましたので、基本的にはポジティブな結果になっていると思っています。
付随的なところでは、学習の習慣化についても、受講後のアンケートで「研修終了後も学習習慣を維持できている」というコメントが出てきていたので、そういう意味でも目標は達成できているのかなと思います。
チーム学習については、自分が頑張らないと周りに影響してしまうという強制力の観点と、定期的にコミュニケーションするということで、お互いにモチベートし合うというところのポジティブな観点と、両面あったと思います。リモートワークで職場の人間とのコミュニケーションの量が圧倒的に減っている中で、チーム学習というのがコミュニケーションの量を押し上げる一つの要因になったというところに関しては、一定成果があったと思っています。フルリモートでの研修は、チーム学習と親和性が高かったですね。
メンターサポートについては、主にやらなきゃいけないというところの醸成にもつながっていくのかなと思いますし、われわれだけだと、見てるよというシグナルを出すのが難しい、手が回らないところなので、御社から、進捗が遅れてますよという連絡やポイントポイントで称賛のコメントがあるというところに関してはよく機能していたのかなと思います。
改善点
一番検討が必要だなと思うところは、今回、目的をスピーキングテストの合格というところに置いていて、それに対してのアプローチをTOEIC対策コースやオンライン英会話にしていました。単純に言うと、ゴール設定に対してのアプローチのツールとして適切かどうかという議論があるのかなと思っています。スピーキングテストに合格するということであれば、スピーキングの面談テストなどを重ねたほうが、もしかしたら少しはポイントにつながるのかもしれないです。
一方で英語力という観点でいくと、それぞれのレベル感があって、いくらそういった面談のテストをしてもボキャブラリーが少ない、文法が分かっていないなど、基礎的なレベルがないとなかなか難しいのかなというところもあります。ゴール設定というのはもう少し具体的にしておかないと、振り返ってみて研修効果で、スピーキングテストにはあまり影響がなかったですと、今回の結果はそういう言い方もできてしまうので、ゴール設定と使用するツールの整合性というところは少し検討の必要があるかなとは思います。
会社としては、英語は日本語と同様ぐらいのニュアンスなのですが、一方で、足元では結構ギャップがあります。ですから、そのギャップを埋めていくということを、われわれ人事の仕事としてやっていかなきゃいけないだろうと思っています。
また、コロナの状況にもよりますが、海外実習というのが難しくなってくると思うんですよね。では、海外を経験させるということをどうしていけばいいか、ということころは大きな課題感としてあります。その辺をいろいろ考えていかなきゃいけないというのは、次のステップとしてあると思っています。
2021年2月取材
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