何を学ぶにしても、必ずいくつかの壁に突き当たります。英語学習も例外ではありません。誰もが伸びる時期と停滞する時期を経験します。ある程度英語に慣れてきた人が、さらに上を目指すときにも壁があります。技術的な問題を抱えていることもありますが、ここでは精神的な問題を取り上げたいと思います。企業の英語研修で、さらなる上を目指すには、それまでとは異なる心構えが必要になります。

 

英語学習の壁

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英語学習の経験者であれば、誰もが壁を感じたことがあると思います。英語に限らず、何かを学ぶとき、学習時間や努力に比例して、一直線に成果や能力が伸びていくというものではありません。伸びては停滞し、向上しては立ち止まる、の繰り返しです。

このように、何を学ぶにしても、必ずいくつかの壁に突き当たりますが、その壁の位置や高さは何を学んでいるかにもよりますし、一人一人違いもあるでしょう。英語学習における典型的な壁は、レベルを上げるときに存在します。ここでは中級レベルから上級レベルに上がるときの壁を考えましょう。ただし、そもそもレベルの定義はあいまいなので、とりあえず中級レベルを「自分の考えを英語で発することができる」レベル、上級レベルを「いろいろな場面でネイティブの会話のスピードに合わせて話を進められる」レベルと定義します。

 

中級から上級へ

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中級と上級にはさまざまな違いがありますが、その一つはスピードです。中級レベルの人は、時間さえかければ言いたいことを英語で言える力を持っています。海外旅行をするには、それで事足りることでしょう。普通の英会話であれば、中級レベルでも十分かもしれません。

しかしビジネスの世界では、スピードは重要です。会議の場では話題がどんどん進展していき、自分の考えを英語でどのように言うか頭の中でまとめているうちに、違う話に移ってしまっているかもしれません。ビジネス英語では、他の人と同じスピードで発話していくことが求められるのです。

 

上級レベルにそびえる壁

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ビジネス英語の上級レベルでは、本格的に英語を話す人と渡り合うことになります。相手は英会話の先生ではないので、優しくゆっくり話を進めてくれるとはかぎりません。あわよくば自分のペースに持ち込もうと、容赦なく早口で英語をまくし立ててくるかもしれません。しかも問題はスピードだけではありません。ビジネスでお付き合いのある相手とは、いろいろな場面での会話が想定され、話す内容はビジネスに関することから文化に至るまで、多岐にわたります。

このように考えると、上級レベルに上がるには、大きな壁が立ちはだかっていることがお分かりかと思います。その壁は、英語研修で中級レベルの学習を続けていれば、自然に乗り越えられるものでしょうか。必ずしもそうとは言い切れません。メンタルのギアを入れ替え、上級レベル向けに心構えから作り直す必要があるのです。

 

上級レベルに向けた心構え

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英会話の学習をしているときに陥りがちなのが、スピーキングとリスニングを独立して捉えてしまうことです。会話は両者の組み合わせで成り立っています。つまり、当たり前のことですが、会話には相手がいて、言葉のキャッチボールをしながら一定の速度で話が進んでいきます。しかも会話の場面は多岐にわたるため、話題は想定した範囲に収まるわけではありません。

では、上級レベルに向けて、どのような心構えをすればよいのでしょうか。単純に表現するならば、会話には相手がいること、そして会話にはいろいろな場面があることを再認識することが重要です。当然のことと思われるかもしれませんが、果たして現在の勉強法はこの視点から見て正しい方角を向いているでしょうか。相手の存在や多様な場面を強く意識することで、自分に足りない力、伸ばすべき力が新たに見えてくることと思います。上級レベルに上がるには、このような心構えを最初に持つことが大切なのです。

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執筆者:森 弘之(もり ひろゆき)
AllAbout日常英会話ガイド 
担当テーマ:日常英会話東京都立大学  教授(理学博士)  

 英会話への第一歩は英会話学校通い。学部生時代には大学を休学し、米国へ語学留学。その後も米国の大学に研究員として2年間在籍。仕事の性格上、海外の研究者らとの交流も多く、コミュニケーションの道具としての英語の重要性を痛感する毎日。日本人の英会話力の欠如は、国際的な学会、研究会でも際立っていることに憂慮しており、その理由にも高い関心を持っている。

 

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