国内でTOEIC®テストを運営するIIBCは、2019年のTOEIC®プログラム受験者数が約241万人だったことを2020年5月27日に発表した。

TOEIC TOEIC

 

TOEIC Bridge Test

TOEIC Bridge

TOEIC Program

Listening &
Reading Test

Speaking &
Writing Tests

Speaking &
Writing Tests
(公開テストのみ)

総受験者数     
2,205,000人 37,800人 163,200人 500人 2,406 ,500人

出典:IIBCプレスリリース

 

2019年の受験者数の内訳を見ると、Listening & Reading Testの受験者数が約220万人、Speaking & Writing Testsの受験者数が4万人弱と、大きな差があることがわかる。これには、SWテストの受験費用が高いという点や、初心者が英語の運用能力を試すことに抵抗があるなど、さまざまな理由が考えられるが、グローバル社会において、どこまで英語力が通用するかを計るために、Speaking & Writing Testsの受験を勧めたい。今回はTOEIC®Speaking & Writing Testsの特徴を紹介する。

 

1.受験方法 

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テストセンターまたはIP試験実施会場でパソコンとヘッドセットを使って受験する。Speaking試験が約20分間、Writing試験が約60分間だ。本人確認をし、写真を撮り、受付け順に席に着く。パソコンの動作確認が終わった人から受験を開始するため、早く試験を始める人と少しあとに試験を始める人がいる。会場を出る時間にも多少の差が出る点が、TOEIC® Listening and Reading Testと異なる。また、パソコンを使って行うという特性上、試験会場はTOEIC® Listening and Reading Testよりも小規模な場合がほとんどである。

 

個人の受験料:10,450円(税込)/ 追加申込期間の受験料 13,200円(税込) 

※2020年61日現在

※団体受験についてはIIBCにお問い合わせください。

出典:IIBC受験案内ページ https://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/guide01_03.html

 

2.問題形式

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問題の種類は初中級者でも対応できるものから、中上級者でないと対応が難しい問題まで、幅広い。例えば、Speakingテストの音読や写真の描写タスクは初中級者でもある程度対応可能だ。半面、解決策を提案するタスクは会話の内容を聞いて理解したうえで、問題点について解決策を提示するため、難易度が高い。

Writingテストにおいては写真を見て1文を書くタスクは中学校3年生までに学ぶ英文法おおむね対応可能だ。半面、意見を伝える小論文調の文章を書くタスクは難易度が高い。

このように、SpeakingテストもWritingテストも後半になると難易度が高くなる構成だ。

 

内容 問題数 解答時間 課題概要 評価基準 採点
音読問題 2 各問45秒(準備時間 各45秒) アナウンスや広告などの内容の、短い英文を音読する 発音、イントネーション、アクセント 0~3
写真描写問題 1 45秒(準備時間 45秒) 写真を見て内容を説明する 上記の事柄すべてに加えて文法、語彙、一貫性 0~3
応答問題 3 15秒または30秒(準備時間 0秒) 身近な問題についてのインタビューに答えるなどの設定で、設問に答える、または電話での会話で、設問に答える 上記の事柄すべてに加えて、内容の妥当性 0~3
提示された情報に基づく応答問題 3 15秒または30秒(準備時間 45秒) 提示された資料や文書(スケジュール等)に基づいて、設問に答える 上記の事柄すべて 0~3
解決策を提案する問題 1 60秒(準備時間 45秒) メッセージなどを聞き、その内容を確認した上で、問題の解決策を提案する、または会議の内容を聞き、その内容を確認した上で、問題の解決策を提案する 上記の事柄すべて 0~5
意見を述べる問題 1 60秒(準備時間 30秒) あるテーマについて、自分の意見とその理由を述べる 上記の事柄すべて 0~5

出店:IIBCウェブサイトhttps://www.iibc-global.org/toeic/test/sw/about/format.html

 

3.採点方法

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SpeakingテストもWritingテストもETSの認定を受けた採点者によって採点される。人間による採点だが、採点の質が厳しく管理されていることから、採点の信頼性は高いとされている。たとえば、採点者は採点を始める前に「採点基準に沿った採点ができるかのチェックテスト」を通過しないと、その日は採点できない。スコアはSpeakingテスト、Writingテスト共に0点から200点まで、10点刻みでスコアが出る。点数が10点刻みである点はListening Reading Testと異なる。

 

4.受験のメリット・ディメリット

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<メリット>

・英語運用能力に対して、比較的精緻に数値化した評価を受けることができる。客観的に自分の能力がわかる。

・話した内容、書いた内容(理論的に話が組み立てられているか)も重視されているため、ビジネスパーソンに重要な「伝え方」が計られる。(英語が堪能なネイティブだからと言って、話の組み立てが下手だと満点にはならない)

・ビジネスに直結したタスクばかりなので、スコアアップに向けた学習を続けると、ビジネス場面でも活躍できるようになる。

 

<ディメリット>

・受験費用が高い。専門的な技能を持つ評価官が評価をしており、小規模テスト会場の運営コストもかかっていることが想像できるため、いたしかたないのだろうが、どうしても費用がマークシート型の試験と比べると高い。

・瞬時にスコアが出ず、約3週間評価を待つ必要がある。

・英語を使いこなす力はすぐには上がらないので、短期間で試験を受け続けてもスコアの伸びがわかりにくい。場合によってはこのことがモチベーションダウンにつながる。

まとめ

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TOEIC® Speaking & Writing Testsは初中級者から上級者が英語を使ってできることを計るのに有益な試験である。パソコンとヘッドセットを使って受験し、テストを受験していると、少しずつタスクが難しくなっていく構成になっている。スコアはSpeakingテスト、Writingテスト、共に10点刻みで0点から200点までの間のスコアで提示される。積極的に自分の英語がどれだけ通用するかを積極的に計ってみてほしい。まずは、Speakingテスト、Writingテスト共に、130点を目指してほしい。詳細については次の記事で。

 

Speakingテスト単体での受験も可能。

※初・中級者向けのTOEIC Bridge® Testsでも、Speaking & Writing Testsが始まったので、英語に苦手意識がある人も、英語を理解する力(LR)と使う能力(SW)のバランスを確認することをすすめたい。


※次回は、TOEIC®SWの目標設定のしかたについて紹介します。
「ビジネスで戦力となる英語力を育成する TOEIC®SW目標設定」はこちら

 

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。英語教授法について大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。SCM部門の配属からHR部門に異動できず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教育教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天様で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

 

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