理系に英語はいらない?いえいえ、グローバルな時代には技術者だって日本語に閉じこもっているわけにはいきません。ただし、理系には理系ならではの英語表現があるので、きちんと理解したうえで、英語研修を実施することが重要です。

 

英語=文系?

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理系人材の多くは、高校あたりから、進路として具体的に文系と理系を意識するようになると思います。数学が得意だから理系、歴史が得意だから文系といったように、得意科目で文・理を決めた方も多いのではないでしょうか。

その際、英語が得意だというのは、文系のポイントとして加算されると考えがちです。ところがそれは正しい判断かというと、必ずしもそうとは言い切れないことを、ビジネスの現場に出てから実感するはずです。

 

理系こそ英語が必要

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ビジネスのグローバル化に伴い、営業など、いわゆる文系職といわれる仕事をしている人には英語の重要性がますます高まっていることは言うまでもありません。一方、研究開発や技術開発などの理系職に就いている人はどうでしょうか。目の前の開発だけに集中していればいいので、英語は不要?とんでもありません。理系だからこそ英語は必要なのです。

物理や化学など、自然科学の世界では、はるか昔から英語が共通語となっています。すべての論文が英語で読み書きされ、海外の研究者との英語によるコミュニケーションも日常のことです。工学系の世界でも、世界の技術発展は無視できません。日本がガラパゴス化しないためにも、海外の開発動向の把握や、海外の技術者とのやりとりは欠かせません。理系人材の英語力アップは、企業の開発力向上にもつながる重要な要素なのです。

 

理系の英語とは?

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理系人材が必要とする英語とは、どのようなものでしょうか。いわゆるビジネス英語でしょうか。もちろん、営業の人とともに技術的な内容を取引先に英語で説明することもあるでしょう。そのときは最低限のビジネス英語も必要になると思います。しかし、技術関連の英語というものは、ビジネス英語とは必ずしも一致せず、理系英語ならではの特徴があります。

まず当然のことですが、専門用語がたくさん登場します。そのため専門外の人からすると、何が書いてあるのか、何を言っているのか、さっぱりわからないかもしれません。一方で、文法的には非常に簡単な英文が使われています。一つの文章も比較的短く、簡潔に表現されているのが普通です。世界中の人に知ってもらうことが目的なので、非英語圏の人でも容易に理解できるように、きわめて平易な英語で書いたり話したりすることが通例なのです。

 

英語研修で技術者の英語力アップを目指す!

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技術英語の特徴の一つである専門用語の習得は、個人が経験を通じて身につけていくものです。そのため技術者の方は、日ごろ使っている専門用語が英語でどのように表現されるかは常に意識しておく必要があります。その点では、IT系の専門用語は英語をそのままカタカナ表記したものが多く、改めて英単語を覚える必要はないかもしれません。

また、上述のように、技術英語で使う英文は比較的平易であるため、難しい文法を学びなおす必要性も高くないかもしれません。では、「専門用語は知っています」「英文法の基本はわかっています」という人が、技術英語を書いたり、話したりできるでしょうか。そのような人は、確かに技術英語を「読む」ことはできるかもしれません。しかし技術内容を英語で発信するとなるとどうでしょう。英語で書いたり話したりするのを独学で習得するのはなかなか難しいのが現実であり、研修など外部からの補助が効果的だと思われます。

ただし研修といっても、先ほど述べたように専門用語は本人が自ら身につけていく以外にありませんが、英語で話す訓練、すなわち英会話の勉強をしたり、スピーキングの機会を得るためには、通常のビジネス英語研修が上達への近道の一つであることは間違いありません。

理系人材にも階層別英語研修を

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理系人材の中でも、現役で技術開発を行っている人と、チームリーダー的存在の人とでは、発すべき英語に違いがあります。現場の人ほど専門性が高く、詳細を説明できる必要があるでしょう。一方、まとめ役の人は、プロジェクトを俯瞰した視点が必要であり、もちろんある程度の専門的説明は欠かせないものの、将来も見越したより幅広い考え方が求められます。

このため、理系人材に対する英語研修においても、階層別研修が必要とされます。ただし階層別研修が必要であるという発想は、一般的なビジネス英語研修においても同様であるため、理系人材もこのような階層別研修をうまく活用していくと効果的でしょう。


企業は理系人材の英語学習を応援

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技術者ら理系人材にも英語や英会話は必要です。まずはこの考えを十分に浸透させることが重要でしょう。その上で、専門的内容を英語で発信できるよう、技術者が能動的に英語を学ぶ環境を整え、研修等を通じて向上心を持ち続けてもらうようにすることが大切だと思われます。

 

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森弘之様_写真_掲載用執筆者:森 弘(もり ひろゆき)
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担当テーマ:日常英会話 東京都立大学  教授(理学博士)  

英会話への第一歩は英会話学校通い。学部生時代には大学を休学し、米国へ語学留学。その後も米国の大学に研究員として2年間在籍。仕事の性格上、海外の研究者らとの交流も多く、コミュニケーション道具としての英語の重要性を痛感する毎日。日本人の英会話力の欠如は、国際的な学会、研究会でも際立っていることに憂慮しており、その理由にも高い関心を持っている。 

 

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