2020年4月の今、世界と日本は新型コロナウイルスの喧騒の中にあります。

「一体いつ終息するのか」様々な人が、様々な予測をし、情報が氾濫しています。

 日本においては、2020年4月段階の安倍総理大臣の記者会見によると、新型コロナウイルス終息までの戦いは長期戦になるということです。つまり、人と人との距離をとりながら社会生活を営む「ソーシャル・ディスタンス」の時代がしばらく続くことを意味します。

テレワークは、全ての産業で可能になる訳ではないでしょうが、多くの業態で一気に進み「大規模な人が、リモート環境で仕事を進める」ということが日常になると想定されます。

では、こうした環境下で、継続的に自己成長を実現していくにはどうしたらよいのでしょうか。

継続成長を実現する「リモートワーク時代」のキーワード

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「リアル」と「リモート」の最も大きな違いは「同時空間性」となります。

「同じ場所に同じ時間に居る」ことができるメリットが「リアル」にはありますが、「リモート」ではそれが叶いません。

その結果、どうしてもフォローが薄くなりますので、企業の教育や研修については、「受講者個々人の自主性に頼る領域」が大きくなります。所属する部門やチームの所属長からのケアも同じ空間に居ないために「意識的に設計しないと、フィードバックの機会も薄くなります」

一方で「通勤時間」という比較的大きな時間枠がなくなり、「新たに使える時間」が生まれます。この時間は1ヶ月分を足し合わせるとおそらく1人あたり、20時間~30時間になります。こうした時間を活用できるというメリットもあります。

個人的には、「リモートワーク時代」に継続成長を実現するためのキーワードは、以下と考えています。

 

1.「設計(選定)」

2.「ソーシャル」

3.「フィジカル」

4.「セッションの時間配分(対面式の半分で休憩)」

5.「報酬としてのエンターテインメント」

 

1.「設計(選定と時間配分)」

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リモート環境で、各自が学習を進める時間が長くなるために、「何をどれくらいやっておくべきか」数字で割り出して、事前に設計しておくと、振り返りの際にも役立ちます。

この際に、「自己研鑽の領域のトレーニングであれば、通勤時間が無くなって、新たに生まれた時間枠の1~3時間でかなり高い成果を生む」ことも可能です。例えば、英語であれば、1日2時間の学習を週5日4ヶ月続けると、4ヶ月で160時間となります。仮にTOEIC対策の学習に充当するとTOEIC400点台の方は、一気に700点台になる可能性も十分あります。

中国語の場合は、日本人の場合は習得が早いので、全くのゼロからでも160時間も学習すると初級の壁を越えることができるので、「ゆっくりであれば簡単な日常会話もできる」ようになります。

 

2.「ソーシャル」

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リモート時代の教育研修を考えるにあたり、私が必須と考えている概念が「ソーシャル」です。人間はホモ・サピエンスという種族ですが、私たち人間が地球環境の激変を生き抜き、繁栄を築くことができたのは「他者とコミュニケーション」ができたからと言われています。

一人在宅で黙々と仕事をし、黙々と学習を続けることができる人は、ほとんどいません。

人間は社会的動物です。毎朝Web会議ツールで全部門が繋がる、1時間ごとにチームで5分つながって世間話をする、或いは朝礼昼礼終礼を3回チームで集まるなど、共に働く仲間との「コミュニケーション」を持つ機会が、仕組みとして設計されているだけで、トレーニングの成果は上げやすくなります。

例えば、eラーニングで学ぶ人は、全員が毎朝「がんばりましょう」と通勤時間で空いた時間に全体キックオフをする、あるいは配属先(所属先)ごとにWebミーティングを開いて、困っていることを言いあうといった、何気ない簡単なソーシャルの場があると、それだけで受講者の現状が把握しやすくなり、受講者同士も自然に情報交換し、学習へ向かうエネルギーレベルが上がります。
 

3.「フィジカル」

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人間は動物であるため、今まで出勤して外出していた時間(=身体を動かす時間)が短くなり、活動する物量が減ってくると、思考回路へも影響が出てきます。「リアル」で働いていた時と同じ分量の「運動時間」を確保することを、企業の教育研修設計の際に組み込むことも一つです。例えば、昭和時代に国民的に取り組んでいたラジオ体操を朝昼とWEBの前で皆が在宅環境で行う、という活動も、「体を動かす」という点で、プラスの効果があると考えています。

何かしら各部門でそれぞれの所属メンバーが好きそうな「身体を動かす」コンテンツも、学習コンテンツと一緒に加えて実施するように仕組み化することをお勧めします。

 

4.「セッションの時間配分(一方通行会話の時間は短く。頻繁な休憩を)」

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企業の教育研修(座学やセミナー)をWEB環境に切り替え、「会議システムなどでつながって、WEBセミナーという形で受講する」という形が今後増えることが想定されます。

社内でトレーニングを内製化する際もWEB環境で、先輩からレクチャーを実施するという機会も増えるはずです。

そうした際に、重要になるポイントが「リアル」と「リモート」では集中力の持続時間が大きく異なるという点です。「リモート」接続したWEB環境は、集中力の消耗は、少なくともリアルの倍はあります(私の個人的感覚だとおそらく3倍~5倍消耗しやすいです)。ですから、こまめに休憩を入れること、一回のまとまった話の区切りも細かく設定することをお勧めします。おそらく「1回のまとまった話は15分以内」におさめること、最低30分に1回は、5分程度の休憩を入れること(15分に1回の休憩が可能ならベター)

リモート環境では、五感の中で情報をキャッチするために使える情報ソースが、「モニター」「音声」と限られるため、集中力の低下速度はリアルの倍以上となります。

一人でeラーニングを実施する際も、リモート環境では、リアルの生活と異なり、「体感する風景を変える」「自然な頭の切り替え」ことが難しいため、連続して一つのコンテンツを学ぶ時間を15分~30分と短く区切り、細かい休憩を入れて、別の学習コンテンツに取り組むように、時間配分を設計すると、集中力が持続しやすくなります。

 

5.「報酬としてのエンターテインメント」

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こちらについては、リアル研修でも同じとなりますが、1日あるいは1週など細かくやり遂げたことを祝福するちょっとした娯楽を設定すると、学習者の意欲を長く保つことができます。例えば、「週に1回は前の週に最も学習をがんばった人を発表し、その方から1分ほどのスピーチをしてもらう」など、何かしらのエンターテインメント要素が入ることで、ちょっとした楽しみが生まれます。ポイントは仕組みとして主催者側(管理者側)が、ずっと継続可能な範囲の報酬(エンターテインメント)として設計することです。


以上、5つのポイントを共有しました。

 

これから、リモートワーク時代の企業教育研修と習慣化という軸で、多くの新しい取り組みがなされ、新しいサービスも生まれてくるように思います。長期化する可能性がある「リモートワークの時代」ではありますが、様々な取り組みを通じながら、きっと短期で成果の上がる方法論が確立されてくるように思います。

今回の文章では、現段階(2020年4月)での私の考える、成果が上がるポイントをまとめて見ました。「もっと良い方法がある」「いや、自分はそのように考えない」というようなお考えがある方がいらっしゃいましたら、ぜひお声をお聞かせください。

リモートワークを前提とした環境で、高い成果があがる人材育成の仕組みを、皆で作り上げていければ幸いです。

 

図1-8執筆者:株式会社WizWe 代表取締役社長 森谷 幸平
大手小売を経て語学系eラーニングベンチャーに参加。北京オフィスMGR、フィリピン現地法人CEOを経て株式会社WEICに参画。上海にて日本語eラーニング展開後、日本でグローバル人材育成事業に携わる。2018年バイアウトを実行し、WEICより語学およびグローバル人材育成事業を継承し、株式会社WizWeを設立。人とデジタルのサポートで語学学習を習慣化し、90%以上の学習者を完走に導く習慣化プログラム「WizHeart」を運営。80社以上の企業に導入。

 

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