今回はオンライン英会話の選び方についてお話しします。オンライン英会話のメリットはなんといっても、場所と時間を選ばないことにあります。好きな場所で好きな時間にレッスンが受けられるという、まさにデジタル技術の恩恵です。このメリットについては、ほぼすべてのオンライン英会話で享受することができます。
オンライン英会話のカテゴリー
まずカテゴリーとしては、思い切って分けるなら、横軸が対象者(個人向け、企業社員向け、家族向け、キッズ向け)に分かれ、縦軸はレッスンタイプ(一般会話、TOEIC/英検などテスト対策、ビジネス目的別、コーチングレッスン、グループレッスン)になるでしょう(少々無理がありますが)。法人向けのオンライン英会話は
・企業社員向け×一般会話
・企業社員向け×コーチングサービス付英会話
・企業社員向け×TOEIC対策
・企業社員向け×ビジネス目的別
が主な形式になります。また会社負担によって個人で受講する場合には、さらに他のパターンも可能になります。
オンライン英会話を選ぶときに注意すべきこと
しかしまず、受講生の英語基礎力、心理的レディネス、目的、必要性について考慮すべてき点が多くあり、これを無視するとオンライン英会話のメリットがデメリットとなってしまうので注意が必要です。
オンライン会話はいまやアプリが使えるところが大半ですので、時間と場所の問題はありません。現在(個人・企業社員を問わず)受講生側でよく問題になるのが下記の点です。
①外国人と直接話すのが怖い/緊張する
②コストを掛けたくない
③人気のある講師はいつも予約できない
④自分の会話が続かなくてもやさしくリードしてほしい
⑤文法が全くできず文が作れないので会話中にも教えてくれる講師がいい
⑥三日坊主なのでモーチベーションが続かない
⑦発音のきれいなネイティブと話をしたい
フィリピン人講師のオンライン英会話
まずコスパを重視したフィリピン人講師のオンライン英会話であれば、①の外国人と直接話すのが怖い/緊張する人と②のコストを掛けたくない人におすすめです。このオンライン英会話サービスはは本来、就職で個人の「スペック」が超重視される韓国によってフィリピン格安留学という形式からスタートしました。実際セブ島には韓国からの留学生が多く、日本人の何倍ものハングリー精神で学んでいると言われます。ともかく量をガンガンこなして場馴れをしたいという人向けです。また講師がアジア人ですと緊張が軽減されるという側面があります。
しかしフィリピン人講師のオンライン英会話では③の人気のある講師はいつも予約できない、⑦の発音のきれいなネイティブと話をしたいという問題が生じる可能性があります。とはいえフィリピン人講師の英語はアジアNo.1なのでしっかりとした力がある人は訓練されていないネイティブを優に超えると思います。だからこそ人気が集まっています。
日本人講師またはバイリンガルの講師のオンライン英会話
④の自分の会話が続かなくてもやさしくリードしてほしい人と⑤の文法が全くできず文が作れないので会話中にも教えてくれる講師がいいという人は、日本人講師またはバイリンガルの講師のサービスを受けるとよいでしょう。またバイリンガル講師によるカウンセリングを売り物にしているところもあります。こうしたカウンセリング/チューター付サービスは⑥の三日坊主なのでモーチベーションが続かないという人にお勧めです。たとえば勉強方法が分からない&TOEICが400程度しかない&会話がダメ&半年程度で簡単な会話ができるようになる必要がある、というような人であれば、フィリピン人・日本人講師+カウンセリングサービスのプログラムが適しています。
ネイティブ講師のオンライン英会話
⑦の発音のきれいなネイティブと話をしたいという人にはネイティブ講師のサービスがありますが、これにはいくつかのバリエーションがあります。まずネイティブ講師のみなのか、有資格のニアネイティブとネイティブ講師なのかという選択肢があります。残念ながらネイティブ講師の中には非常に有能な人と、アルバイト気分でやっている人が混在しています。むしろ有資格(TESOL)のニアネイティブ講師のほうがすぐれている場合も少なくありません。
またサービスを提供している企業が日本国内にあるか海外にあるかによってもサポートのレベルが変わってくるかもしれません。ただし講師自身の専門背景から選びたい(例えばプログラミング言語の専門家)場合は海外企業が提供する英会話サービスのほうが講師を選定しやすい可能性もあります。
執筆者:鈴木武生 Ph.D.
株式会社アジアユーロ言語研究所代表取締役。会社HP: https://asiaeuro.org
早稲田大学および跡見学園女子大学非常勤講師。(株)日中韓辭典研究所言語学顧問。さくらリンケージインターナショナル社シニアコンサルタント。
商社勤務後,翻訳・通訳者、漢英字典編纂者を経て独立し,アジアユーロ言語研究所を設立。翻訳・通訳業務,多言語辞書編纂,データ処理,検索エンジン開発を行うとともに,大手外資系メーカーのアジア太平洋地区ビジネス開発を支援。また企業向けスキル研修プログラム(英語,中国語,異文化理解など)の開発と実施,ならびにグローバル人材研修・開発のコンサルティングを行う。
「海外経験のない一般的な日本人が、外国語能力を身に付け、外国人と自然なコミュニケーションが図れるようになるためには、一体何をどのように実践したらよいのか、またどうすればそうした学習者を支援できるのだろうか」という思いで設立。企業向け語学研修・異文化研修を中心に、日系・外資を問わずあらゆる業種の企業に対して、学習者の語学力向上をサポート。
東京大学総合文化研究科修了(言語情報科学専攻),言語学博士。研究対象は英中日台の語彙概念意味論、言語類型論、語用論、構文論。またタイヤル語(台湾原住民族語)のフィールドワークを行う。
著書:「異文化理解で変わる ビジネス英会話・チャット 状況・場面115」 (Z会のビジネス英語)
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