技術職など専門性の高い業務であればあるほど、業務上の単語さえ押さえれば、中学英語の知識を使って豊富な会話ができます。ビジネスマンが最低限おさえておきたい中学英語の文法、そして、業務関連用語と組み合わせて英会話をするコツをご紹介します。

 

専門性の高い分野の英語

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情報系やエンジニアリング系など、技術職の人が使うような専門性の高い分野のビジネス英語は、一見難しそうに感じます。確かに専門外の人からすると、聞いたことのない用語が次々に出てきて、まるで理解できない難解なもの、という印象を持たれるかもしれません。しかしよく聞いて(読んで)みると、実はわからないのはその業界に関連した用語だけであり、英語自体はとても簡単な文法に基づいていることがわかるはずです。

実際、研究開発の成果を発表するための技術論文や学術論文は、世界中の人すなわち非英語圏の人にも理解してもらう必要があるため、平易な英語を使って書くことが求められています。そのため、「論文」というと格調高い英語が使われていると誤解されがちですが、ほとんどの論文は中学英語レベルといっても過言ではありません。もちろん専門用語がたくさん使われているために誰でも読めるものではありませんが、逆に言えば、専門用語さえ把握してしまえば、読解力はさほど必要とされません。

 

中学英語+業界関連用語

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専門性の高い分野におけるビジネス会話でも、同じことが言えます。中学までに習う文法を使った英語に専門用語やその業界特有の用語をちりばめるだけで、基本的な文章は成立します。相手に伝えるべきことは英語の文章よりも専門用語で言い表すことができる場合が多く、そのため英文としての高尚さや工夫は求められません。

もともと中学英語の範囲で多くのビジネス会話は成り立ちます。もちろん会話は相手があることなので、先方がややこしい文法を使うこともあるでしょう。そのため中学英語ですべて済むというのは言い過ぎですが、少なくとも自分の側が使う英語としては、中学で習う文法でもほとんどの会話文をカバーできます。

 

技術職向けの英語研修

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営業職に限らず、技術職などに代表される専門性の高い職につく方でも、海外とのやりとりにおいて英語によるプレゼンや会話が必要になる機会があるでしょう。そのような方々向けに研修を行う場合、気をつけなければいけないのが、上に書いた「相手に伝えるべきことは英語の文章よりも専門用語で言い表すことができる場合が多い」という点です。技術分野では、業界用語を羅列するだけで、何となく言いたいことが伝えられてしまうのです。

もちろん、これはよいことでもあります。図やグラフを利用しつつ専門用語を並べれば、相手はなんとなく理解してくれるので、英語力が不足している人はとても助かります。それがゆえに、会話力を磨くモチベーションという面では、商談で高いビジネス会話力を要求される営業職の人に比べると、技術職の人はやる気を保つのが難しいかもしれません。

 

英語研修を担当する人事・研修担当者は、橋渡しの役割を

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いかがでしたでしょうか?企業の人事・研修担当者は、技術職の社員のビジネス英語研修を実施する場合、参加者のモチベーションを保つことに重点を置く必要があります。参加者に最初から高い目標を求めず、中学英語からスタートして脱落者を少しでも減らすことを優先するとよいでしょう。

また、予め担当となる講師に自社で社員がよく用いる業界関連用語やビジネスのシチュエーションを伝達しておくと、実りある研修になる可能性が高まります。

そうすることで、たとえば、参加者に各自の分野で想定される英会話の場面(たとえば外国人技術者にグラフや図の説明などをする場面)をシミュレートしてもらい、そのとき用語の羅列で何とか切り抜けようとしている人がいれば、それを講師が正しい文章の形(もちろん中学レベルの文法でかまいません)に直してあげるだけでも、社員は「話せた」という実感が得られるでしょう。

企業で英語研修を担当する人事・研修担当者が、このように講師と社員の橋渡しをすることで、実践に役立つビジネス英会話研修が可能になります。

 

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執筆者:森 弘之(もり ひろゆき)
AllAbout日常英会話ガイド 
担当テーマ:日常英会話東京都立大学  教授(理学博士)  

 英会話への第一歩は英会話学校通い。学部生時代には大学を休学し、米国へ語学留学。その後も米国の大学に研究員として2年間在籍。仕事の性格上、海外の研究者らとの交流も多く、コミュニケーションの道具としての英語の重要性を痛感する毎日。日本人の英会話力の欠如は、国際的な学会、研究会でも際立っていることに憂慮しており、その理由にも高い関心を持っている。

 

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