速く長文を読みたいときに使うスキルは大きく分けて2つあります。Scanning(スキャニング)とSkimming(スキミング)です。一般的に、日本人はスキャニングに慣れていますが、スキミングの手法を使って長文を読む習慣のある人は少ないようです。両方の手法を使いこなし、効率よく長文を速く読めるようにしましょう。

 

スキャニング

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スキャニングは、必要な情報を探してその周辺を拾い読みする手法です。先に本文ではなく問題文を読み、必要な情報を探すときにはこのスキャニング力を使っています。本文にざっと目を通しながら、必要な情報を探し出す方法は、学校教育で「テスト問題の解き方」として習った人が多い手法なので、一度は使ったことがあるテクニックでしょう。

英語学習者の場合は、問題文にあるキーワードをもとに、具体的な情報を探して問題に答えますので、基本的には問題文があってこそスキャニングが成立すると考えている人が多いようです。しかし、ネイテイブもスキャニングをします。スキャニングの手法を用いるのは比較的複雑な内容のものを読むときです。ざっと読みながら5W1Hの情報を整理しながら、拾っていきます。それらの情報を元に全体概要をつかむのです。問題文がないとき、例えば英字新聞を読んでいるときには、英語学習者も頭の中で「いつの出来事でしょうか」「誰が何をしたのでしょうか」「今後は何が起きると思われますか」などと疑問を持ちながら情報を探していけば、スキャニングの手法に沿った読解ができます。

 

スキミング

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スキミングは日本で行われている英語教育であまり指導されていないようですが、典型的な書き方をされている文章においては非常に効果的な速読法です。英語の文章構成の特性を活かして文章を斜め読みします。英語の長文は概ね、下記のような構成で書かれています。

 

<長文のよくある構造>

Introduction paragraph

         ↓

Body (複数のパラグラフ)

         ↓

Concluding Paragraph

 

<パラグラフ内の構造>

Topic sentence(そのパラグラフの主題を述べた文)

Supporting sentences(主題の詳細が複数文)

Concluding sentence(主題に関するまとめの文)

 

 

つまり、文章全体の主要な論点は最初と最後のパラグラフにまとめてあり、また、各パラグラフ内の情報も最初の文と最後の文にまとめてあることが多いのです。

スキミングはこの構造に着目し、各段落の始めと終わりをしっかり読み、ほかのところは読み飛ばします。これだけで、どの段落に何が書かれているのか、大意がつかめます。かなりの長文であれば「まとめ」が複数に及ぶことがあるので、最初の段落と最後の段落を多少丁寧に、概ね始めの3文と最後の3文を読みます。これで話の大枠は理解できます。

かなり複雑そうな内容のパラグラフであれば、最初と最後の文を読むだけではなく、First, Second, However, On the other hand, または Similarlyなどのdiscourse marker(談話標識)に丸をつけておきましょう。文と文の論理的な関係を示すのが談話標識です。接続詞や接続副詞がその主な役割を担い、話の展開を理解するのに役立ちます。文法的な役割ではなくIn conclusionFor exampleなどは「フレーズ」として覚えているかもしれません。あとで、細かい内容を確認するときに、これらの談話標識を名のごとく「標識」として探して読み込むと話の流れがより鮮明に見えてきます。

 

まとめ

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スキャニングとスキミングをうまく組み合わせて使いましょう。速く長文読解ができるようになりたい人は、まずはスキミングで全体概要をつかんでから、スキャニングで具体的な情報を把握していく読み方に挑戦してみてください。各段落の1文目と最後の文を読み、そのあとに5W1Hの情報を見つけます。その際に談話標識に着目して読み進めましょう。

 

 

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。英語教授法について大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。SCM部門の配属からHR部門に異動できず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教育教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天様で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

 

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