ある程度英語は話せるのにLinguaskillやTOEIC Speaking Testなどのテストで高得点が取れないという方はたくさんいらっしゃいます。それは、いわゆる「英会話」で伸ばしているスキルと、「スピーキングテスト」が測っているスキルが別物だからなのです。今回は「英会話とスピーキングの違い」のほか、スピーキングテストで結果を出しながら、運用力を高める方法についてご紹介します。

英会話力とスピーキング力の違い

 

疑問「英語を話す」という意味では共通している英会話とスピーキングテストですが、英語というテーマで考えると一緒くたにしてしまいがちです。そこで、日本語で考えてみると違いがわかりやすくなります。日本語を流ちょうに使いこなす私たち日本語ネイティブは、「日会話力」は非常に高いものを持っています。しかし、道順やグラフをわかりやすく説明できるか、というと、苦手に感じている人も多いのではないでしょうか。まさに、「やり取り」は難しくないものの、「説明」が難しいという状況です。これを言い換えると、前者が会話力の定義で、後者がスピーキング力の定義です。この差こそが、英語における英会話力とスピーキング力の違いなのです。

ビジネス系の英語スピーキングテストの場合、易しめのタスクであれば「質問に答えられるかどうか」を測定していますが、後半のタスクは、話せることを前提とした「説明力」を測定しているケースが多くあります。ネイティブであっても、必ずしもスピーキング力が高いとは言えず、それが会話力とスピーキングスコアの違いです。スピーキングテストで測定する力は、「英語を話せることを前提とした説明力」と捉えることで、取り組みやすくなります。Linguaskillであれば「プレゼンテーション」や「ロールプレイ」、TOEIC Speaking Testであれば「提示された情報に基づく応答問題」や「意見を述べる問題」が「説明力」に相当します。

スピーキングテスト対策で伸びる使えるスピーキング力

スピーキング一見、会話力よりもスピーキング力を高めるほうが難しそうですが、一概にそうとも言えません。また、テスト対策を行うことでスピーキング力は上がらないと思われがちですが、実はスピーキングテスト対策は、「説明力」を高めるためには非常に効果的です。

まず、素早くスピーキング力を高めるために必要なのが「『型』を習得する」ということです。日本語においても説明が上手な人は、「説明の型」を使っています。一方で、説明が苦手な人は、思いついたままに話しているため、そこに「型」はありません。たとえば、3つのポイントがある場合、先に「ポイントは3つあります。1つめは・・・2つめは・・・3つめは・・・」という構造で説明するのも型の活用です。見たものや考えたものを言葉にできるのは「会話力」ですが、それを過不足なく、相手に伝わるように編集して型を使って伝えるのが「スピーキング力」です。そのため、型を身につける学習を行うことで、素早い上達を可能にします。

そこで使えるものが、スピーキングテスト対策です。問題集には必ずサンプル解答があります。サンプル解答には必ず「型」が使われていますので、徹底的にマネをすることで型を身につけることができます。たとえば、「問題を伝えたうえで原因を提示する」、「2つの情報を比較して、決定を伝える」、「状況を説明したうえで、依頼をする」などは、すべて型を身につけることで話しやすくなります。また、話を展開させるときに使う接続詞(although、because、whileなど)や副詞(however、therefore、in addition、On the contraryなど)を効果的に使うことで、伝わりやすい説明となります。これも「型」の1つです。

日本語で考えてみても同様です。営業職に慣れていない人が最短で営業スキルを身につける効果的な方法のひとつが、トップセールスの「トークスクリプト(台本)」を暗記することではないでしょうか。暗記を通して、「型」を体得していきます。日本語においても英語においても、「話し方」より「話し型」を身につけることが、最短で効果を出す方法です。

ライティングを盛り込む

22558958スピーキング力を高めるには、「型」を活用して話す練習が必要ですが、より早く「型」に落とし込むために効果的なのが「書くこと」です。スピーキングの場合は、考えながら話すのが難しいだけでなく、「どう話しているか」が目に見えないため、自身のスピーキングを判断しづらいという弱点があります。

 

一方で、書く場合には、考えながら文字に表すことができるため、論理的な流れになっているかどうかを検討できますし、文字として書き出すことで、「型の見える化」ができます。全体の流れを一目で理解することができることで、「型」の精度を目で確認することができます。

まとめ

まとめ同じ英語力であったとしても、「型づくり」により「説明力」が高まるにつれて、スピーキングテストの結果が改善されます。この「型」を身につけるためにも、見本を徹底的にマネることが大切です。スピーキング力であっても、「話す」だけでなく「書く」を取り入れるメリットは大きいです。

 

また、「聞く」「読む」を取り入れることで、客観的に「型」の効果を体感することもできます。型の習得は、テストのスコアアップだけでなく、仕事での英語における説明力も高まりますし、言語力が高まった結果として日本語の説明力も高まります。

 

 

rj_189_プロフィール画像最新著者:早川 幸治 氏
株式会社ラーニングコネクションズ 代表取締役 
SEから英会話講師へ転身。その後、TOEIC対策を中心とした英語セミナー講師として、これまで大手企業からベンチャー企業まで全国約200社での研修を担当してきたほか、大学や高校でも教える。脳や心の仕組みを活用した学習法を提唱し、上達の本質を英語学習に応用している。高校2年で英検4級不合格から英語学習をスタート。苦手意識を克服した後、TOEIC 990点(満点)、英検1級。著書に「TOEICテスト 書き込みドリル」シリーズ(桐原書店)、「TOEICテスト 究極のゼミ Part 3 & 4」(アルク)、「2カ月で攻略!TOEIC L&Rテスト 730点!」(アルク)など50冊以上。雑誌連載のほか、企業における学習コンサルティング、セブ島留学TOEICプログラム監修、日本語プレゼンテーション(伝える技術)研修も担当。2011年5月から毎日英単語メルマガ「ボキャブラリーブースター」を配信中。

早川幸治オフィシャルサイト:https://kojihayakawa.jp/

 

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