一人来なくなり、二人来なくなり……、業務が忙しいのか、時間帯が悪いのか、研修の内容は適切なのか……? 社員を英語研修から脱落させないためには、どのような工夫をしたらよいでしょう。研修の内容、きめ細かなフォローアップ……、一緒に考えてみましょう。

 

集団研修の難しさ

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企業の英語研修にはさまざまな形態がありますが、大きく分けると集団研修と個人研修の2つがあります。ここでは、集団で英語研修をするときに、脱落者をどう防ぐかという問題を考えてみましょう。

英語に限らず集団で何かを学ぶとき、いろいろな理由で研修を辞める人が出てきます。集団の場合に難しいのが、一人が脱落すると二人目からは脱落のハードル下がってしまうという点です。自分が最初の脱落者になるのは抵抗があるものの、誰かが辞めたなら、私も辞めようかなと思ってしまうのです。脱落の連鎖です。

 

脱落の連鎖を防ぐ

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研修を行う側からすれば、脱落者を一人でも減らして完走率を上げることはとても大切な目標です。一人、二人と辞めていく脱落の連鎖を防ぐにはどうしたらよいでしょう。一番効果的なのは、一人目の脱落者を出さないことです。あるいは次善の策として、脱落者が一人出ても後に続く人を出さないことです。研修を辞める人には、その人なりの理由があります。仕事が忙しくて英語学習に割く時間が取れない、業務スケジュールの変更により研修に時間を合わせられなくなった、努力の割に成果が出ずモチベーションが下がったなど、理由は千差万別です。

これらの理由をすべて解決するのは不可能でしょう。しかし実際には、辞めたいという気持ちが先にあり、後付けで仕事を理由にしているケースも多そうです。そうだとすると、辞めたいという気持ちをケアしてあげることで脱落を防ぐことも可能です。それには参加者同士の話し合いが効果的です。教える側が心構えを説くのではなく、英語学習を進めていく上での悩みなどを参加者が互いに語り合う場を設けるのです。研修者全員を少人数グループに分け、すべての人が発言しやすい環境を整えることで、一体感も生まれます。

 

伴走者の大切さ

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集団研修では、競争心をあおってやる気を引き出すというのも一つの手ですが、この方法は、負けず嫌いな人や成果が出せている人は伸びるものの、そうでない人のやる気をそぐという欠点があります。参加者の競争は、グループの中から大きな成果を生み出すときには有効ですが、脱落者を出さずにグループ全体をそろって前進させるには、逆効果になる場合もあります。

英語研修においては、参加者は互いにライバルではありません。ライバル心があると、人の脱落を喜んでしまうことさえあるでしょう。一方で、参加者が話し合いの場を通じてチームとしての一体感を持ち、全員が互いの伴走者としての役割を持つとしたらどうでしょう。励まし合いながら、それぞれの目標に向かって進むことができるはずです。参加者の一体感が生まれれば、仮にやむを得ない事情で研修を抜けなければならない人が出ても、残りの人がそれに安易に追随することもないはずです。

なお、研修目標は、各人の実力に見合った個別の目標とすべきでしょう。全員に同じ目標を設定すると、速く到達する人となかなか到達しない人が出てきてしまい、成果が出ない人は精神的に苦しくなるからです。

 

進歩があってこそのモチベーション

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話し合いで単に悩みを愚痴るだけでは、当面の脱落は避けられても、それだけで悩みの本質的な解決になるわけではありません。そのため、研修を催す側も手を貸してあげて、参加者のモチベーションを切らさないようにしていく必要があります。といっても、今の時代、罰を伴うような無理強い型は参加者に受け入れられません。それぞれの人がわずかずつでも進歩しているという実感を持てるようにしてあげることが大切です。きめ細かいフォローアップも有効ですし、適度な褒める言葉もありがたいものです。

 

脱落者を少しでも出さないためには、以上のように、研修を提供する側と参加者の全員が互いを支え合うという体制を作り出すのが効果的なのです。

 

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森弘之様_写真_掲載用

執筆者:森 弘之(もり ひろゆき)
AllAbout日常英会話ガイド 
担当テーマ:日常英会話東京都立大学  教授(理学博士)  

 英会話への第一歩は英会話学校通い。学部生時代には大学を休学し、米国へ語学留学。その後も米国の大学に研究員として2年間在籍。仕事の性格上、海外の研究者らとの交流も多く、コミュニケーションの道具としての英語の重要性を痛感する毎日。日本人の英会話力の欠如は、国際的な学会、研究会でも際立っていることに憂慮しており、その理由にも高い関心を持っている。


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