世間ではダイエット、フィットネス、そして英語学習が三日坊主の代表格と言われます。いずれもなかなか効果がでにくく、進捗が実感できないという共通点があります。もともとスポーツや英語に強い興味がある人は別ですが、一般の人にとって進捗効果がなかなか見えないものを継続するのは苦痛以外の何物でもないでしょう。

なぜ英語学習が挫折するのでしょうか?かならずしもダイエットと同じく学習効果が見えにくい―というだけではなく、端的に言うと「面白くない」からです。ですからいかに面白く学べるか、または苦痛なく学べるかという問いに答えられれば、挫折する可能性がそれだけ減るわけです。これは英語学習の習慣化ともかかわっていますが、この習慣化の方法については別のブログでも書いたのでそちらを参照してください(『英語学習の習慣化』を参照)。

挫折しないための戦略とは?

戦略まず大きな戦略の一つとして英語を自分にとっての楽しみと結び付けるやり方があるでしょう。これを戦略Aと言います。これは積極的に英語学習に関わっている方法です。もう一つの大きな戦略として、英語学習からいかに苦痛や手間を取り除いて行くかという方法があります。これを戦略Bとしましょう。

戦略Aと戦略Bをどう組み合わせるかについては各人の性格や好みによってさまざまになると言えます。Aを中心にBを副とするのか、またAとBを同配分で実行するのか、またひたすらBを追求するのか、などです。

そこでこのブログでは戦略Aを中心に戦略Bを副として取り入れるやり方を提案してみたいと思います。

 

戦略A-1:ドリル&英会話学校  戦略B-1:学習アプリ

まず日本人が得意とするのはテスト勉強、いわゆるドリルです。ある目標に向かって訓練を極めるのが好きな国民性であり、しかも他人の目を意識せずできるのでシャイな人は打ってつけと言えるでしょう。そこでTOEICの特定スコア達成や英検合格を目標とした計画を立て、「ガチなお勉強」の中心柱に置きます。ここでは文法力強化、語彙力アップ、リスニング練習、作文練習、リーディング練習などが中心的メニューになります。これが戦略A-1です。

これが苦痛な人にはスタディーサプリのような隙間時間を使って勉強のできるアプリの併用をお勧めします(特に語彙力アップ)。これは戦略B-1です。

次に戦略A-1として、「楽しいお勉強」を平行して行います。これは英会話学校です。楽しい会話クラスはモーチベーションを非常に高めてくれます。またよきクラスメートができることで心が折れずに継続する力が沸いてきます。さらに(現在はコロナウィルスによって海外旅行が一定度制限されていますが)海外旅行によってこの楽しさは倍化します。クラスメートの経験談やアドバイスなどを頼りに海外を訪問し、その思い出をクラスで話すことにより自分と英語というものの「つながり」(単なる勉強ではなく言語がツールとして自分の一部になるという実感)がより強く実感できるようになります(筆者の個人的経験では英語とフランス語の学習がこの方法でうまくいきました)。

 

戦略A-2:英会話ラウンジ  A-3:海外旅行

次に戦略A-2も加えましょう。筆者のおすすめは英会話ラウンジです。ここには世界各国から来た人たちが集まります。またそうした事情に興味や経験を持つ日本人も集まります。こうしたラウンジの優れた点は、そうした世界の事情がふんだんに聞けるだけでなく、仲間ができ、かつ自分から出力する機会が増える、または出力したくなる動機付けができるところにあります。これにより海外旅行にも一層興味が沸くようになります(旅行は戦略A-3としましょう)。

 

戦略B-2:洋画  戦略B-3:YouTube・ポッドキャスト

次に戦略B-2です。これは洋画がおすすめです。スクリーンプレイなどのような解説付きの台本が多く市販されているので会話力アップや海外文化の学習に大いに利用できます。リスニングの練習にももってこいです。

最後は戦略B-3です。現在ではYouTubeやポッドキャストでさまざまな英会話番組が視聴できます。どれも無料ですし、日本人が興味のある内容を扱ったものが多いので苦痛なく継続視聴ができるでしょう。ただしこれらは、あくまでも断片的な知識なので、学習の中心にはなかなかなりにくいという欠点があります。そのため学習の体系性を補えるように戦略A-1およびB-1との併用とおすすめします。

 

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英語学習の習慣化

執筆者:鈴木武生 Ph.D.
株式会社アジアユーロ言語研究所代表取締役。会社HP: https://asiaeuro.org

早稲田大学および跡見学園女子大学非常勤講師。(株)日中韓辭典研究所言語学顧問。さくらリンケージインターナショナル社シニアコンサルタント。

商社勤務後,翻訳・通訳者、漢英字典編纂者を経て独立し,アジアユーロ言語研究所を設立。翻訳・通訳業務,多言語辞書編纂,データ処理,検索エンジン開発を行うとともに,大手外資系メーカーのアジア太平洋地区ビジネス開発を支援。また企業向けスキル研修プログラム(英語,中国語,異文化理解など)の開発と実施,ならびにグローバル人材研修・開発のコンサルティングを行う。

「海外経験のない一般的な日本人が、外国語能力を身に付け、外国人と自然なコミュニケーションが図れるようになるためには、一体何をどのように実践したらよいのか、またどうすればそうした学習者を支援できるのだろうか」という思いで設立。企業向け語学研修・異文化研修を中心に、日系・外資を問わずあらゆる業種の企業に対して、学習者の語学力向上をサポート。
東京大学総合文化研究科修了(言語情報科学専攻),言語学博士。研究対象は英中日台の語彙概念意味論、言語類型論、語用論、構文論。またタイヤル語(台湾原住民族語)のフィールドワークを行う。

著書:「異文化理解で変わる ビジネス英会話・チャット 状況・場面115」 (Z会のビジネス英語)

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