英語研修は多くの企業で導入されていますが、その理由は「社員の英語力底上げ」という全社的なものから、「海外駐在前の準備」という選抜型のものまで多岐にわたります。一方で、英語研修を受ける側である社員の方からは「仕事では英語を使用しない」、「国内向けの企業だから英語はいらない」という声を聞くこともあるかもしれません。 

 

 「現在は英語を使用していない」という状況だとしても、「英語」に対する捉え方によって、必要な物にもなりますし、不要な物にもなり得ます。たとえば、「今この瞬間に必要かどうか」という視点で考えると、英語に対する優先順位は大きく下がるかもしれません。一方で、現在は国内向けの業務が99%だとしても、長期的視点になった時には、日本の人口減少による市場の縮小は避けられず、海外市場に目を向けざるを得ません。そうなると、ビジネスの共通言語である「英語」の重要性は高まり、自ずと優先順位も高まります。 

 

英語研修の位置づけ

 どんなに素晴らしい研修や、どんなに素晴らしいツールを提供できたとしても、自動的に学びが起こるわけではありません。人は「学ぶ機会」があるから学ぶのではなく、「学ぶ意味」があるから学びますそのため、研修を導入するにあたって必要なことは、この「意味」です。社員ひとりひとりのキャリアパスにおいて英語の必要性が見えた時に初めて英語学習の意味が見出せます

 ポイントは会社の方向と個人の方向を合わせることです。また、全体向けメッセージだけでなく英語の必要性を個別にすり合わせることで、「なぜ英語を身につけるべきか」を自分事として考えるきっかけとなります。

 また、すぐに英語を使う必要があるビジネスパーソン以外の方にとって、英語学習は、「投資」としての側面のほうが強いでしょう。そのため、「現在にとっての必要性」ではなく「未来にとっての必要性」を把握しているかどうかがカギとなります。こうして「未来への投資としての英語学習」という意味が発生することで、提供される英語研修の位置づけも変わってきます。

 

英語研修が提供するもの

 英語研修において、参加者が手にするものは何でしょうか。それは、「英語力」ではありません。もちろん、英語力を伸ばすために研修に参加することに間違いはありませんが、ラジオ体操に参加した際にもらえる「ハンコ」のように、研修に参加することで英語力をもらえるわけではありません。研修で手に入るものは「環境」と「ツール」です。その環境やツールを通した学びも大切ですが、それ以外の時間帯も駆使して学習することにより磨いていくものが「英語力」です。 

 この環境には、「英語に触れること」だけでなく、「学習仲間の存在」も含まれます。チームに分かれて学習を行うことで、途中で挫折せずに学習を継続できるようになるケースは少なくありません。研修をきっかけとして、社内の「学習文化の醸成」にもつながります。

 

ビジネスパーソンにとっての英語学習

 ビジネスパーソンにとっての英語学習は、学校で求められてきたものとは異なります。たとえば、単語テストで良い点数を取ることはもちろん大切ですが、それはあくまで習得度の確認です。知識を増やすことで理解度が高まり、さらに成果につながりやすくなります。単語テストの成績が高まることによって、知識が増えていることの証明となり、使える知識が増えてくることで、リスニングやリーディングのスキルはもちろんのこと、スピーキングやライティングの精度も高まりやすくなります。

 テストで良い成績を上げることは目標としては有効ですが、目的はその先にあります。あくまで「業務に活かすこと「キャリアに活かすことです。特に「今すぐに英語が必要なわけではない」という方にとって、長期的な視点に立てるかどうか、さらに長期的に見た必要性を感じられるかどうかが単なる「勉強」として英語学習なのかキャリア」として英語学習なのか、英語学習の意味も大きく変わます。

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rj_189_プロフィール画像最新著者:早川 幸治 氏
株式会社ラーニングコネクションズ 代表取締役 
SEから英会話講師へ転身。その後、TOEIC対策を中心とした英語セミナー講師として、これまで大手企業からベンチャー企業まで全国約200社での研修を担当してきたほか、大学や高校でも教える。脳や心の仕組みを活用した学習法を提唱し、上達の本質を英語学習に応用している。高校2年で英検4級不合格から英語学習をスタート。苦手意識を克服した後、TOEIC 990点(満点)、英検1級。著書に「TOEICテスト 書き込みドリル」シリーズ(桐原書店)、「TOEICテスト 究極のゼミ Part 3 & 4」(アルク)、「2カ月で攻略!TOEIC L&Rテスト 730点!」(アルク)など50冊以上。雑誌連載のほか、企業における学習コンサルティング、セブ島留学TOEICプログラム監修、日本語プレゼンテーション(伝える技術)研修も担当。2011年5月から毎日英単語メルマガ「ボキャブラリーブースター」を配信中。

早川幸治オフィシャルサイト:https://kojihayakawa.jp/

 

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