グローバル人材育成の話題で避けて通れないのが英語力の向上に関する話です。長年、日本人はスピーキング力が特に弱いと言われており、「スピーキング力を高めたい」と言う人が多いのが実情です。「スピーキング力を上げるための自主練習方法を教えてほしい」とご依頼を受けることが多いのですが、方法論の話をする前にまず、目的を明確にする必要があります。

 

明確にしたい 「スピーキングの分類」

 3323894_s

あなたの言う「スピーキング」とは何のことでしょうか。目的に応じて手に取るべき教材も練習方法も異なります。自分ができるようになりたいことを詳細に思い浮かべると、自分に合った教材と練習方法に出会えます。以下のように、やりたいことや願い事を言葉にしましょう。

 

・出張で必要なやりとり(ホテルチェックインや買い物など)をスムーズにしたい

・雑談(スモールトーク)ができるようになりたい

・会議で自分の意見をスムーズに伝え、議論に参加したい

・営業プレゼンテーションで受注率をあげたい

・聞き手の心を動かすスピーチがしたい

 

日常会話とスモールトークは同じ言葉のキャッチボールを要する「会話」ですが、日常会話では短いやり取りが多いものです。例えば、スーパーに行ったときに店員さんと長く話し込むことはないでしょう。「このスーパーに醤油は置いていますか」「このクーポンは使えますか」「棚に20%オフと書いてあってのですが、レシートを見ると、その割引が適応されいないようです」など、1-3つくらいの文を述べて、相手と会話します。

スモールトークは場を和ませるための初対面の人との「それなりにフォーマルな雑談」のことだと思ってください。異業種交流会などに参加して、5分間初対面の人と話せますか?自分のことを伝え、相手のことに興味をもっている雰囲気を作りながら会話をすることが求められているので、適切なトピック、適切な質問の仕方がわからなくては話が続きません。

日常会話やスモールトークには「結論」がないことが多いのですが、ビジネスパーソンは頻繁にビジネスを前に進めるために話す必要があります。例えば、一般的に会議では会話をしながら、結論を導き出します。結論を導き出すためには、説得力や交渉力が会話力に加えて必要です。つまり、結論のない会話よりもワンランク上のスキルが必要になります。プレゼンテーションやスピーチも聞き手の判断やアクションを促すために行うことが多いので、伝わりやすい話し方をすることが大切です。論理的な話し方のトレーニングが必要不可欠なのです。英語のディベート大会に出場するために訓練を積んでいる大学生もいますが、その学生たちが特に頑張っているのは英単語の習得などよりも、むしろ理論武装です。「スピーキング」という大きな枠組みの中で、より多くのことができるようになると「英語上級者」となりますので、できることを増やしていきましょう。

 

教材選び

 3841796_s

「スピーキング」といえども、話す場面はたくさんあり、それぞれで必要なスキルが異なります。目的を明確にしたら、次に、自分の目的と自分のレベルに合った教材を手に取ることが大切です。書籍であれば中身を見てみて、例えば日常会話であれば、短いやり取りがたくさん含まれているか、プレゼンテーションであればまとまった発話例がどれだけ入っているかを確認するとよいでしょう。

また、英語を見てみて全く理解できないものはスピーキング練習用教材には難しすぎます。「8割くらいはパッと見てわかる」というくらいの英語レベルの書籍を選びましょう。そうすれば「知っていることを活用して流暢に話せるトレーニング」と「知らない表現を覚える」といった2つの活用方法ができ、コストパフォーマンス抜群です。

 

グローバル人材育成推進会議で定義された「グローバル人材」

英検セミナーサムネイル

多くのビジネスパーソンが「グローバル人材になるため」に英語学習に取り組んでいます。英語ができたらグローバル人材になれるのでしょうか。

日本政府はグローバル人材育成のための提言を何度も出してきました。首相官邸が201264日に発行した「グローバル人材育成戦略(グローバル人材育成推進会議 審議まとめ)」 によると、ビジネスパーソンに必要なスキルは以下のとおりです。

 

要素Ⅰ: 語学力・コミュニケーション能力

要素Ⅱ: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感

要素Ⅲ: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/global/1206011matome.pdf より

 

英語力は要素1に分類されますが、その英語力を活かした姿勢は要素2に含まれます。グローバルパーソンには発信力が必要不可欠であり、積極的に考えを伝え、柔軟にグローバルチームの中で立ち振る舞って活躍しなくてはいけません。英語を理解できるだけではなく、積極的に使いこなせる状態になって、初めて英語でコミュニケーションの取れるグローバル人材と考えてもらえるでしょう。

 

英語で発信する姿勢

 amy-hirschi-uwpo02K55zw-unsplash (1)

「郷に入っては郷に従え」という表現があるように、英語を使うときには英語という言語の一般的な使われ方に沿って話をしましょう。発信力を高めるということは、発言頻度を増やすという意味だけではなく、伝わりやすい話し方をして1回の発話で、なるべく多くの人に理解してもらうという意味もあります。

英語を使うとき、特に意見を述べるときに使いたいフレームワークがPREPまたはOREO
PREPはpoint, reason, example, pointの略、OREOopinion, reason, example, opinionの略です。共に結論が先にあり、小生説明をし、最後にもう一度結論を述べるという話し方です。アメリカでは意見を発表したり、作文を書く練習をするときにOREOを意識するように、子供たちが指導されています。子供の頃からこのような話し方をする訓練を受けているネイティブは、大人になっても、当然話し手はそのような順番で話をするだろうと想像しています。だからこそ、その流れに沿っていないと混乱してしまうのです。

 

日本語でも要点を伝えるのに役立つPREPOREOの話し方はこんな流れです。

 

<例>

O

意見

スピーキング力を上げたいならば、モノマネ音読をするべきです。

R

理由

なぜなら、スピーキング力の基本となる発音、イントネーション、強弱のリズム、またイントネーションを身につけるためには英語を声に出さないといけないからです。本を眺めているだけ、または頭の中で音に変えているだけでは、口の使い方、息の使い方がマスターできません。また、自分の想像する自分と実際にできることにギャップがあることに気づけません。

E

事例

2ヶ月間、毎日30分間音読をしてTOEIC Sテストを受けたのに、全然テストスコアが伸びないという生徒がいました。話を聞くと電車の中で小声で読んでいることを「音読」と言っていました。小声ではスピーキングテストの評価に重要な強弱やイントネーションは正しく身につきません。お手本音源と全く同じように大きな声でハキハキと音読練習をするようになってから再度TOEIC Sのテストを受験したら100点から130点までスコアアップしたそうです。

O

意見

このように、正しいモノマネ音読は特に発音と流暢さの領域でスピーキング力アップにつながりますので、モノマネ音読をおすすめします。

 

英語を使って活躍している人たちは英単語、英文法、表現集の学習だけではなく、「英語らしい伝え方」にも配慮しています。TED Talks発表者の動画など、無料ですばらしいお手本がたくさん手に入る時代ですので、ぜひ「英語の使われ方」に注目してみてください。英語表現を覚えるだけではなく、英語文化に合う話の組み立て方を意識して学習を続ければ、おのずと英語上級者、かつグローバル人材になれるでしょう。

 

 

 

リーディングについて

ネイティブのように前から情報を理解できる! スラッシュリーディング・スラッシュリスニング
スラッシュリーディング応用編~長文の一文字一句を読まない! 省エネモードを使うべきところを把握
・<企業の研修担当者必読>英語の長文を速く読解できる手法~ ScanningとSkimming~

■スピーキング練習法

<企業研修における英語力育成戦略>初中級者のスピーキング練習法

・<企業研修における英語力育成戦略> 中上級者のLinguaskill Business Speaking対策

・<企業の研修担当者向け>スピーキングテスト対策~時制をマスターせよ~

・<企業の研修担当者必見>英語スピーキング力を上げる書籍活用法

■Linguaskill Businessについて

・運営しやすい高品質ビジネス英語テスト「Linguaskill Business」

■TOEIC®SW試験について

・ビジネスで戦力となる英語力を見極める TOEIC®SW試験とは

ビジネスで戦力となる英語力を育成する TOEIC®SW目標設定

・ビジネスで戦力となる英語力を育成する TOEIC®SW学習法

----------------------------------------------------


執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。英語教授法について大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。SCM部門の配属からHR部門に異動できず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教育教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天様で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

 

Smart Habit 最新コース資料はこちらから