企業の英語研修ではモチベーションを一定に保てるかどうかで研修成果が大きく左右されます。しかしただでさえ「お勉強」感覚の強い英語研修では、このモチベーションの維持が最も(おそらく英語を学ぶこと自体よりも)難しい課題と言えるでしょう。

モチベーションを維持する上でまず何が問題になるかを考えながら、学習内容別にモチベーション維持に必要となる要因を見ていきましょう。

 

1.英会話

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最も大きな敵は業務における疲れです。会議をはしごして、文書作成作業を必死に早めに終わらせて何とか18:00からの英会話クラスに参加したはよいが、睡魔が襲ってきて集中できない。よくあるシチュエーションです。言語学習は単なる英会話といえども、今日はこれこれを学ぶぞというレディネス(準備度)があり、フレッシュな気分(脳への書き込み効率)で授業に参加し、「なるほど、こういえばよく通じるのかあ」というアウェアネス(気づき)を持ち帰れる環境を準備することが極めて重要です。

 

2.ディスカッション

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ディスカッションでは、ビビる気持ち、集中力、リスニング力、語彙力・表現力などがキーワードになります。これらはいずれもフラストレーションコントロールと関係があります。ディスカッションでモチベーションが下がるシナリオはこうです。「先生が言っていることは聴き取れないし、何かを表現しても通じないし、先生がいらいらして怖そうで、たまに自分にも分かるトピックになっても、表現も単語も分からないので片言単語になってしまってはずかしい。できる人は先生を独占してペラペラやっているし、あーあ、面白くないなあ」

 

ディスカッションを行う場合には以下の点に留意する必要があるでしょう。

 

受講生全員のレベルを合わせる

全員が興味のありそうなトピックを用意する

事前にそこに出てくる語彙や表現の下調べができた上で参加できるようなカリキュラムにする

まなんだ表現や言い方を整理できるような教材や宿題を工夫する

各人が均等に発言できるようなシステムを作る

 

3.ライティング

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ライティングのモチベーションは、「おー自分にもこんな文が書けるじゃないか」という達成感が非常に重要になります。そのためはまず同レベルの文法力を持った受講生をそろえることは必須です。次に重要になるのは教材です。「方法論が分かりやすく、手順通りにステップを踏んでいけば文章が書けるようになる」という教材を準備することが重要でしょう。最初は、この語を並べ替えて文にする「並べ替え」練習、括弧に語彙を入れる穴埋め練習からはじめ、興味のある問題例文を用いて、最終的には次の日本文を英語にせよという自由度の高い出題形式にシフトしていきます。その際に、対面授業であればグループ学習も効果的です。各個人が書いた答えをグループで添削させて、その後教師が解説を行うのが効果的です。また自宅で予習を行い場合にはチューターを準備しておくのもよいでしょう。

 

4.リーディング

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純粋なリーディングクラスというのは企業の英語研修では少なく、速読セミナーのようなものか、英文講読を通じた文法クラス/リーディング力アップクラスという形式になるのが普通です。速読セミナーは一日で終わるようなものなのでモチベーションとはあまり関係ありません。講読を通じた文法クラスやリーディング力アップクラスは、会話のような動的なクラスアクティビティがないため、モチベーションの維持がもっと難しいと思います。このタイプのクラスでモチベーションを高く維持させるにはTOEICクラスが効果的でしょう。例えば650800点を突破することが目標となっていれば高いモチベーションを維持したまま長期的に学習を続けやすくなります。

 

モチベーションが続く自習方法とは

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最後にモチベーションが続く自習方法として、英会話カフェがあります。こういう場所は友人が作りやすく、知り合いとならリラックスしたまま会話ができ、またクラス外シチュエーションでの学習なので語彙表現が覚えやすいというメリットあります。しかし問題は「ビビり」の心理で「知らない人がいるところはどうも敷居が高くて...」という人にはマンツーマンレッスンが向いているかもしれません。

 

執筆者:鈴木武生 Ph.D.
株式会社アジアユーロ言語研究所代表取締役。会社HP: https://asiaeuro.org

早稲田大学および跡見学園女子大学非常勤講師。(株)日中韓辭典研究所言語学顧問。さくらリンケージインターナショナル社シニアコンサルタント。

商社勤務後,翻訳・通訳者、漢英字典編纂者を経て独立し,アジアユーロ言語研究所を設立。翻訳・通訳業務,多言語辞書編纂,データ処理,検索エンジン開発を行うとともに,大手外資系メーカーのアジア太平洋地区ビジネス開発を支援。また企業向けスキル研修プログラム(英語,中国語,異文化理解など)の開発と実施,ならびにグローバル人材研修・開発のコンサルティングを行う。

「海外経験のない一般的な日本人が、外国語能力を身に付け、外国人と自然なコミュニケーションが図れるようになるためには、一体何をどのように実践したらよいのか、またどうすればそうした学習者を支援できるのだろうか」という思いで設立。企業向け語学研修・異文化研修を中心に、日系・外資を問わずあらゆる業種の企業に対して、学習者の語学力向上をサポート。
東京大学総合文化研究科修了(言語情報科学専攻),言語学博士。研究対象は英中日台の語彙概念意味論、言語類型論、語用論、構文論。またタイヤル語(台湾原住民族語)のフィールドワークを行う。

著書:「異文化理解で変わる ビジネス英会話・チャット 状況・場面115」 (Z会のビジネス英語)

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