名詞以外を修飾する副詞を文中のどこに入れるかで迷う方が多いようです。副詞は動詞と形容詞のみならず、文全体を修飾することもあるので、日本語同様に、文のさまざまな場所に入れることができます。これはあくまでも「文法的に」そうであるという意味です。文法ルールを考えて、適切な場所に副詞を入れたとしても「自然に聞こえるか」は別の話。自然な英語になるように、副詞を入れる場所を考えるのに役立つ一般的なパターンをご紹介します。

rule of thumbとは「おおまかな考え方」「大まかなやり方」のことです。

◆Rule of Thumb 1:動詞の様子を修飾するときは動詞の後ろ

 

<例1>

You have to speak clearly. (あなたはわかりやすく話す必要がある。)

You have to clearly speak.  

Clearly, you have to speak. (あなたは話す必要があるのは明白だ。)

※文頭に置くと意味が変わってしまいます。

 

<例2>

He gets upset very quickly. (彼はすぐにイライラする。)

He very quickly gets upset.  (彼はすぐにイライラする。)

veryquicklyを、quicklyget upsetを修飾しているので、セットで動詞の後ろにあるのが自然です。

 

このように、副詞+副詞のパターンは一番最後の副詞が何を修飾しているかを考えるとよいでしょう。

 

◆Rule of Thumb 2:(確信や物事の)程度と頻度を表すときは動詞の前

 

<例1>

He’s probably sick. (彼は多分具合が悪いのだろう。)

He’s sick probably. (彼は多分具合が悪いのだろう。)

Probably, he’s sick. (彼は多分具合が悪いのだろう。)

 

<例2>

I always drink coffee in the morning. (私はいつも朝コーヒーを飲む。)

△I drink coffee in the morning, always. (私はいつも朝コーヒーを飲む。)

Always, I drink coffee in the morning. (私はいつも朝コーヒーを飲む。)

 

<例3>

I especially liked that movie. (私は特にあの映画が気に入った。)

△ I liked that movie especially. (私は特にあの映画が気に入った。)

Especially, I liked that movie. (私は特にあの映画が気に入った。)

 

日本人は日本語の語順の感覚で、程度と頻度の副詞を文頭に入れがちですが、聞き手はかなり違和感を感じることでしょう。その理由は冒頭にある副詞は一般的に文全体を修飾すると考えられるからです。文全体を修飾する意図で使っていないであることが想像できる文だと、意味の理解が曖昧になります。自然な英語では程度と頻度の副詞は動詞の前!と覚えておきましょう。

 

◆Rule of Thumb 3:Discourse markers(談話標識)として使われる副詞は文頭

 

談話標識とは前の文との対比をするために使われる表現です。

<例>

The report data is wrong. Therefore, we need to rewrite our report.

(レポートのデータが間違っているよ。だからレポートを書き直す必要がある。)

The report data is wrong. Consequently, we need to rewrite our report.

(レポートのデータが間違っているよ。だからレポートを書き直す必要がある。)

The report data is wrong. Besides, its font is too small.

(レポートのデータが間違っているよ。それにフォントが小さすぎる。)

The report data is wrong. Actually, its font is too small as well.

(レポートのデータが間違っているよ。ついでに言うと、フォントも小さすぎる。)

Actuallyの直訳は「実は」ですが、ここでの用法は「それに加えて」や「ついでに言うと」といったニュアンスです。

 

 

―――理解度確認―――

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日本語に訳しにくい単語のjustは文のどこにあるかによって、文の意味を変えてしまいます。訳し間違いがとても多いので、下記の訳文の違い・ニュアンスの違いがわかるか確認しましょう。

 

She just plays the violin for fun. (彼女の趣味はバイオリンだけだよ。)

justplays the violinにかかっています。for fun(楽しみのため=趣味のため)にやっている唯一のことがplay the violinであるということを伝えています。

 

She plays just the violin for fun. (彼女はバイオリンだけは趣味でやっているんだよ。)

just the violinは「バイオリンだけは」の意味。つまり、この文では、彼女がさまざまな楽器を真剣にやっているものの(例えばプロ演奏者としていくつかの楽器を弾いていて)、バイオリンだけはあくまでも趣味であることを伝えています。

 

She plays the violin just for fun. (彼女はバイオリンを趣味としてやっているだけだよ。)

justfor funを修飾していますので、趣味としてやっていることを「ただ単なる趣味としてやっている」ということを強調して伝えています。

 

まとめ

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英語の副詞が難しいと感じる理由は

  1. 副詞を文中のどこに入れていいかよくわからない
  2. 単語の意味そのものが日本語でわかりにくい

といったところでしょう。例えば、意味については、上記で解説したactuallyjustが「実は」や「ただ」だけでは表しきれないニュアンスをもっています。

ニュアンスを理解するにはたくさんの英文を読み、感覚的に単語の使い方を身につけていく必要があります。また、副詞は奥が深いので、専門書を手にとって理解するのもいいでしょう。例えばこの書籍がおすすめです。

 

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自然に副詞を使いこなせるように、英文を書いたり話したりして、アウトプット練習を続けてください!

 

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。英語教授法について大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。SCM部門の配属からHR部門に異動できず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教育教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天様で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

 

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