Versant Speaking TestのPart Eは、ほとんどの日本語話者が「難しい!」と悲鳴をあげるパートです。本日はVersantの特徴とPart Eの練習方法、そして高得点をとるために求められていることについてお話をします。

 

他のスピーキング試験と異なる3つの特徴

versant1Versantには他のよく知られているスピーキング試験とは異なる特徴が3つあります。

(1) 受験者の言語能力のみを測っている
このテストは、ネイティブの小学生高学年なら満点もしくはそれに近い点数を取れることが多いと言われています。その一方で、TOEIC Speaking TestやLinguaskill Business Speakingなどでは「意見を述べる」「見解を伝える」といった、高いコミュニケーション能力を必要とする活動を英語で行うため、大人でないと対応が難しいと言われています。つまり、Versantで求められているタスクそのものは実は「簡単」なことなのです。

(2) 雑音の入ったリアルな音声を使っている
スピーキングテストで流れる音声は、プロのナレーターがスタジオで録音したきれいな音声のものが多いのですが、Versant Speaking Testの音声には、雑音が多少入る場所で素人がペラペラ話している感じの音声が混ざっています。これは、この試験がコールセンターの採用試験の一部として使われることが多いからです。リアルな音声を使って、どれだけ英語を聞き取り、そして話せるかを同時に測っています。そのため、英語を学ぶための教材用に作られたきれいな英語音源だけではなく、ドラマや映画などで耳にするような「生きた英語」に慣れておく必要があります。

(3) 記憶力を試されているような感覚になる質問が含まれている
(1)で述べたように、言語能力のみを測るVersantの試験内容はとてもシンプルです。タスク自体で受験者に考えることをさせずに、多くの発話をさせるとための工夫として、VersantのPart Eはstory retellingというタスクになっています。30秒のお話を聞き、その30秒間で聞いたことをそのまま言います。30秒の内容を暗記するという点でかなりのプレッシャーを感じますし、暗記力が悪いと対応ができないのではないかと言う学習者が多いです。

しかしネイティブはさほど暗記力に頼っていません。暗記ではなく、情景をイメージして、そのイメージについて話すことで単語を一文字一句言えるように暗記力を頼っているわけではないのです。

なお、Part Fは意見問題ですが、あくまでもVersant側が音声データをもっと蓄積するために行われているタスクであるため、評価されません。つまり、Versant Speaking Testで最も難易度が高いのがPart Eです。

Part Eのタスクに慣れるには
versant2Part Eは初級者にとってはかなり難易度が高いです。そして上級者と中級者を区別するのに大変役立つパートになっています。それは30秒という長い時間、ナチュラルスピードの英語を聞き、同じこと言うのが「大変」だからです。このタスクをあまり大変に感じなくなるためには以下の力が必要です。

・30秒の英語を聞いても疲れない余裕
・30秒の英語で語られていることを想像する力
・想像したことをそのまま英語にする単語力と文法力(単語は同義語でも評価されます)
・30秒間、話し続ける耐久性

では、これらをどう身につけるのか。

まず、1つ目の「30秒の英語を聞いても疲れない余裕」は、日頃から英語のドラマや映画を見ていれば30秒程度では全く疲れません。始めは字幕を頼ってもいいので、とにかくたくさん聞いても疲れないこと、意味をなんとなく想像できることを目標にしてください。毎日30分英語のドラマを見ることを半年続けていれば30秒程度へっちゃらになる人がほとんどです。

2つ目から4つ目まではPart Eのような自主トレをすれば力がつきます。私の行っているレッスンでは子供向けのお話を使ってこのトレーニングを行っています。YouTubeなどにたくさん出ている子供向けの本の読み聞かせ動画を活用します。

<準備>
YouTubeでkids stories read aloud などのキーワードで読み語りのコンテンツを見つける

<練習方法>
ステップ1:耳だけで話を聞く(YouTube内の本のスクリプトや字幕は見ない)
ステップ2:その話を今度は自分で言い、録音する
ステップ3:自分の言ったことを書き出す(音声認識ソフトに認識させて書き出してもOK)
ステップ4:自分の言ったことと本にあるテキストを見比べて、間違っていた単語や文法を自分で修正
ステップ5:修正したスクリプトを読み上げてから暗記し、再度録音。正しくできるまで練習を継続する

ポイントはイメージを活性化させて、聞いたことをイメージ化してから話を組み立てることです。そうすることで、より多くの内容を話せるようになります。

高得点をとるために
versant4Versant Speaking Testは流暢さと発音の配点が高い試験ですので、以下を心がけることが減点されない秘訣です。

・はきはき大きな声で話す
・無言にならない
・言い直しをしない
・「えー」や「あー」といったfiller(考えるときに出る音)を発さない

Part Eについては30秒の話を聞いて、30秒かけずに同等の話をするのは本来は難しいので、30秒の時間をすべて使うことが想定されています。10秒で終わってしまい、残りが無音であれば、当然スコアはかなり低くなります。このように、Part Eはたくさん話せるかどうかも測っているので、受験を予定している方は日頃から「発話量」も意識して話す訓練をしておきましょう。

Versantは「基礎力を試している」「ネイティブ感覚を試している」と言える試験です。ぜひご自身の英語力の底上げにご活用ください。

 

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。HR部門への異動が叶わず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

著書:『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション』『英語の数字ルールブック』『ビジネス英語リーディングの技術

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