英語のスピーキング練習機会が少ないと感じていませんか。今は自分でスピーキング機会を作ることができます。スマートフォンの音声認識機能やパソコンでの音声認識機能を活用しましょう。話してみて、自分が話したとおりに文字が書き起こされたらOK!もし話しているように文字が表示されなかったら、発音になんらかの問題があります。よくある問題点をご紹介しますので、スピーキング力アップのための自主トレーニングの参考にしてください。
1. 内容語と機能語を意識して、英語のリズムをマスターしよう!
英文をきれいに話すためには正しいリズムで話せることが非常に重要です。英語にはcontent word(内容語)とfunction word(機能語)があります。内容語は内容を伝えるためになくてはならない単語。機能語は補助的な役割を担う単語です。
例えば、下記の図表にあるように、手を叩きながらone, two, three, four と言ってください。そのリズムを崩さずに、下記の表にある太字以外の語を拍から外した間に組み込んでください。手拍子はone, two, three, fourのところです。単語が入れば入るほど、言いにくくなるはずですが、どのようにしたらうまく言えるかを考え、工夫してみてください。and aはアンダ、and then aはアゼナのように短縮しないといけません。英語は拍がある言語なので、このリズムを捉えることが大切です。
1拍目 | 2拍目 | 3拍目 | 4拍目 |
one | two | three | four |
one and | two and | three and | four |
one and a | two and a | three and a | four |
one and then a | two and then a | three and then a | four |
上記は数を数えるアクティビティなので例外ですが、一般的に英単語は以下のように内容語と機能語に分かれます。
<内容語> |
否定の言葉は内容語なので、I can see it. / I can’t see it. は見た目は似ている文でも、話すときにはリズムが異なるのがわかりますか。
1拍目 | 空白 | 2拍目 | 空白 | 3拍目 | 空白 | 4拍目 | 空白 |
I | can | see | it. | - | - | - | I |
can’t | see | it. | - | - | - | - |
太字の箇所を強くしっかりと言います。この「強くしっかりと」は実は「長く」に置き換えられます。英語に強弱を付けるためには声の大小をコントロールするのではなく、母音の長さをコントロールするのが自然です。内容語の強勢のある母音を長く言うことで「強くしっかりと」言っている印象になります。例えば international であれば、ナーを長めに言うことで、はっきりと音を出すことができます。
2. 流暢に話そう!
音声認識はあらかじめ蓄積されたデータから「次にこのような流れで話が組み立てられるだろう」という予測をして、書き起こされます。音の組み合わせに応じて文字を書き起こしているので、おかしなところに無音や「えー」や「あー」といったfiller(発話の隙間を埋める音)があると、音の組み合わせが壊れてしまいます。内容語の前には0.5秒くらいの間(ま)をいれるつもりで、機能語は続けて言うつもりで、流暢に発話することが「音の組み合わせ」を自然に作るコツです。
3. ゆっくり発音して正しい発音をマスターしよう!
音声認識において、重要となるのが母音の音。例えば、cat, caught(またはcot), cut, kitと言ったときに音声は正しく認識されますか。 今では、かなり認識範囲が広くなってきていますので、多少ズレていても認識されることが多くなってきました。正しく言えるまで、まずは単語ごとに母音の音に注意して練習を続けましょう。母音は口の開け具合によって調整します。大きく口を開けてみたり、小さく開けてみたり、喉を全開にしてみたり、少し閉じてみたりしながら、正しい音を探しましょう。
<やってみよう!> chocolateと言って発音は認識されますか。worldはどうでしょうか。 チョコレートはアメリカ英語であればチャークレッというような発音が正解。カタカナにだまされないように要注意の単語です。 worldはカタカナのように口をしっかりと開けて「ア」の音を出してしまうと認識されません。口をあまり開かずに、ウの音を出しながら少しずつ舌を引いてrの音を出したあとに舌を歯に勢いよくつけてはじいてlの発音をします。その後に最後のdの音を付けます。 |
単語ごとの発音がきれいにできるようになったら、次は文単位で発話します。文では内容語をしっかりと、機能語は速めに言います。音の連結によって、音が変化する「リンキング」(例:all of you = アーラヴユー)、「消える音」(例:presentの最後のt)、「変化する音」(例:could youのクッジュー)に注意しましょう。お手本をたくさん聞いて、真似ることが大切です。
音声認識を活用した発音トレーニング、ぜひがんばってくださいね!
※執筆者の書籍『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション』Chapter 5にも伝わりやすい英語を話すコツが詳しく載っています。
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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO
クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。英語教授法について大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。SCM部門の配属からHR部門に異動できず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教育教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天様で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。