助動詞が使いこなせるようになると、自分の伝えたいことのニュアンスをより具体的に伝えられるようになります。ぜひマスターしましょう。
助動詞とは
助動詞とは名前のとおり「動詞を助ける言葉」です。英語で正式にはauxiliary verbと言いますが、ネイティブの小学生はこれらをhelping verbsと国語(英語)の授業で学びます。helping verbsは日本語の「助動詞」のニュアンスと同じですね!
auxiliary verbs(助動詞)の中にはbe動詞、do/does/did、have/has/hadが含まれますが、日本語話者が混乱しやすいのはmodal auxiliariesと呼ばれるcan/could, will/would, shall/should, may, might, mustでしょう。これらの単語は動詞に
・tense(時制)
例: I could finish the task by noon. / 正午までにはタスクを終えることができた。(過去の話)
・mood(意図 -事実を述べているか、仮定しているか、命令しているかなど)
例: You must not touch the exhibits. / 展示品を触ってはいけない。(命令)
・voice(態 -能動態や受動態)
例: This book was written by Ken Smith. / この本はケン・スミスによって書かれました。(受動態)
※この文が受動態であることを示すwasは日本ではbe動詞として考えられていますが、助詞の一つ。
のニュアンスを付け加えていきます。どのようなニュアンスで単語が使われているのかがわかりにくく、混乱してしまうことがあるかと思います。
また、副詞も動詞を修飾することができるので、似ている点があります。例えば、
・I can wake up early.(can=助動詞)/ 私は朝、早く起きられる(私は早起きは苦手ではない。)
も
・I always wake up early.(always=副詞)/ 私はいつも早起きだ。
も文構造が同じです。このように副詞も助動詞も動詞の直前に入れることができます。
上記のように分構造が同じ文を作ることもできますが、副詞は動詞以外に形容詞や副詞を修飾することもできるため、動詞の前以外の場所にも入ります。助動詞は必ず動詞の前です。より柔軟に使えるのが副詞なのです。助動詞の場所はシンプルに「動詞の前」と覚えてしまいましょう。
助動詞が表現できること
日本語では英語と同じような時制の概念がないうえ、中学校で習っている用法は助動詞の一部でしかないので、英語的な思考回路が完成していないと感じる方が多いようです。助動詞が表現できることの広さを確認しましょう。
【例】shouldの用法
・指示の「~すべきである」「~しなくてはならない」
You should call your grandparents.
おばあちゃんに電話すべきだよ。
・推量を表す「~のはずだ」
This data should be right.
このデータは正しいはずだ。
・自信がないときの「~だろう」
I should think so.
たぶん、そうだと思う。
・後悔の「~すべきだった」(should have ~)
I should have bought that shirt.
あのシャツを買えばよかった。
このように、使う場面やニュアンスで使われるため、助動詞は難しいのです。そのうえ、最後の「助動詞+have+過去分詞」のような助動詞を使った構文があり、別のニュアンスを作り出すものもあります。
否定に要注意
助動詞が難しいもう1つの理由は否定形を作ると本当に否定にならない点があります。should(~すべき)の反対はshould not(~してはいけない)ではないのですが、初級者はよく間違えて、意図せぬメッセージを発信しています。例えば、「毎日肉を食べるべきだ」という主張があったとしましょう。その反対意見は何になりますか。「毎日肉を食べる必要はない」が反対意見ですよね。ところが、よく「毎日肉を食べてはいけない」という発言が反対意見として出てきます。下記の違い、わかりますか。
You should eat meat every day. ≠ You should not eat meat every day.
毎日肉を食べるべきだ。 ≠(ノットイコール)毎日肉を食べてはいけない。
※You should eat meat every day.の反対はYou don't have to eat meat every day.(毎日肉を食べる必要はない。)
助動詞の学び方
助動詞で混乱してしまっている場合、助動詞だけを徹底的に学び、整理して理解する時間を作ることをおすすめします。日本の中学校・高校のカリキュラムで1つ単語の用法が別のタイミングで登場します。例えば、まずは「~すべきである」の意味でshouldという単語に出会い、そしてしばらく立ってから「~のはずだ」の用法が登場するのです。その結果、1つの単語に対するイメージがしっかりと固まっていない人が多いです。
社会人になり、英語学習をやり直している方は、小出しに意味を理解する学習法より、一つの単語に対するさまざまな用法を整理して学んだほうが理解が早いはずです。助動詞に関する専門書を手に取り、まずは頭で理解しましょう。その後、英作文などをして使ってみましょう。添削サービスなどを活用すれば、自然な使い方ができているか確認できます。
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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO
クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。英語教授法について大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。SCM部門の配属からHR部門に異動できず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教育教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天様で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。