日本英語検定協会が運用している英語スピーキングテストのGCASをご存知でしょうか。この試験はビジネス英語スピーキングテストの中でも「会議に出席しているシーン」を体感できる試験だという特徴があります。このGCASのスピーキングテストに向けた学習法をご紹介します。

Part1

Part 1は面接試験のような雰囲気。「仕事の面接だと思って自己紹介をしてください」から始まり、その後、自分の職歴や今までの仕事のやりがいなど、あたかも採用面接で聞かれるような質問をされる可能性があります。英語面接のための教材やウェブサイトなどを見て、自分のことについて話す練習をすると良いでしょう。例えば、以下のような質問にスムーズに答えられるように準備をしておきましょう。

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Tell me about your current job.

今の仕事について教えてください。

What do you like most about your work?

仕事の中で一番好きなことは何ですか。

What is the most interesting thing about your work?

あなたの仕事の中で一番おもしろいことは何ですか。

What made you interested in that position?

その職務に興味をもった理由は何ですか。

What have you learned from some of the jobs you have held?

今まで担当した仕事で学んだことは何ですか。

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わずか3分程のパートなのでたくさんの質問はされません。そのため、これらすべてがGCASに出題されるというわけではありませんが、まずは自分のことについて話せる力を付けておくことが大切です。現在と過去のことを話す質問が多いので、適切な時制で話すことが求められます。日本人は、時間軸上の移動が苦手な傾向があるため、これが重要な学習ポイントになるでしょう。

なお、日本英語検定協会のサンプル問題には以下のものが掲載されていますので、自分のことについて話せるようになったら、所属している会社や社会全般のことについても話す練習をしておきましょう。

First, please introduce yourself and tell me about the job you are doing now.

Do you think that there is good communication between employees in your company?

Do you think that it is important for the government to support small businesses?

参照サイト:https://www.eiken.or.jp/gcas/test/sample.html 

 

Part2

 

Part 2がこの試験で一番難しいのではないでしょうか。

2つの図表を見比べて、それぞれの図表の示す内容を述べ、その後、2つの図表の関連性について話す必要があります。自分が作成したグラフでプレゼンテーションをすることに慣れていても、提示されたグラフを瞬時に理解し、分析して、説明することには慣れていないというビジネスパーソンが多いと思います。そのためPart 2に一番の練習時間を費やすことをおすすめまします。

特に日本語で説明することも苦手という場合は、図表を読み解く訓練が必須です。これは英語力の問題ではありません。日頃から図表に慣れ親しみ、新聞などで見かけたデータをよく見て、自分なりの見解を言う練習をしてから、新聞記事内ではどう書かれているかを読んで他者の見解を理解する、といった取り組みが必要です。

図表の説明が日本語でできるようになってきたら、英語で説明するために必要な語句を覚えましょう。習得した表現を使う練習を繰り返して、図表の説明に慣れていく必要があります。どんな表現もパッと出てくるように、ぜひグラフに関する表現の復習をしてから、試験に望みましょう。

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<図表の説明に使える表現>

・図表の概要について述べる

This table / graph shows <タイトルの内容>.

この表 / グラフは<タイトルの内容>を示しています。

・図表の傾向について述べる

Graph 1 / 2 shows that the <図表の示すもの> is increasing / decreasing / steady.

グラフ1 / 2 は<図表の示すもの> が増加している / 減少している / 変化がない ことを示しています。

・特徴のある部分について述べる

The <図表の示すもの> drastically increased / improved / decreased / worsened between A and B.

<図表の示すもの>はAからBの期間に大幅に 増加しました / 改善しました / 減少しました / 悪化しました。

※傾向の度合いを示す表現例

「少しずつ」:slightly, slowly, somewhat

「急に」: drastically, rapidly, sharply, significantly

・2つの図表の関係について述べる

The two graphs / the graph and table indicate <示していること>.

2つのグラフ / グラフと図表が示しているのは<示していること>です。

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グラフの説明を終えたら、そのことから言えることや意見を述べる必要があります。

例えば、The two graphs show that A and B are growing proportionally, so we should invest in A more.「AとBが比例して伸びていることを2つのグラフが示していますので、Aにより一層投資すべきだと思います」やWhen A increases, the sales result suffers, so perhaps, we should reconsider A.「Aが増加すると売上の結果が打撃を受けるので、Aをしないように再検討するべきだと思います」といったことを伝えます。

時間制限はわずか2分ですので、グラフの説明をテンポよく行い、結論にたどり着けるように流暢さを意識して話す練習をしましょう。

 

Part3

Part 3は唯一面接官があなたの言ったことに反論したり、再度説明を求めてきたりするパートです。

自分の立場や説明を理論的に守り抜くことができるかを試されています。なんらかのアイディアを示すことを求められるのですが、そのアイディア自体のサンプルは提示されます。そのため、それを文法的に適切な形で読み上げながら、「自分の意見」として述べて問題ありません。その述べたことに対する面接官の反論にどう対応できるかが試されているので、すぐに自分の意見を別の根拠を元に再度しっかりと伝えられるようにしましょう。

面接官からの質問にはすぐに答え、面接官が反論を述べたときにはThat’s true, but I believe ~. 「それはそうかもしれませんが、~と考えています」やThat’s a point we should discuss further because ~. 「それはより議論を必要とする点ですね。なぜなら~」のように、相手の述べたことを認めてから自分の意見を再度述べると良いでしょう。

こういった議論をするために表現を習得し、スキルを向上させるには、ディスカッションアクティビティが含まれる英語レッスンで練習を繰り返すことが重要です。ぜひ英語講師の力を借りて練習することをおすすめします。

 

まとめ

GCASは実践力が問われるビジネス英語スピーキングテストです。テストに向けた学習と練習は英語でビジネスを行う力の育成に直結します。今はまだ英語で仕事をする機会が少ない方も、将来に向けて早めに学習に取り組むことをおすすめします。Good luck!

 

 

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執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。HR部門への異動が叶わず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

著書:『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション』『英語の数字ルールブック』『ビジネス英語リーディングの技術

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