ほとんどの大人が、子供の頃、先生によく「予習・復習をしっかりしましょう」と言われてきたと思います。今回のトピックは「効果的な学習に必要な予習と復習方法」です。

継続的にレッスンを受講している場合、予習と復習の両方をするのは時間的に大変だという声を聞きます。どちらかを選ばなくてはいけない場合、どのように判断をしたらよいでしょうか。受講しているレッスン内容や学習目的に応じて予習と復習の時間配分を決めましょう。

カリキュラムに基づいた考え方
ひよこ本カリキュラムが明確にあるレッスンの場合、予習をしっかりしておくとレッスン内の時間を有効に使うことができます予め知っていることや理解できることと、よくわからないところを分けておきましょう。レッスンではわからないところを中心に質問することで、自分がアウトプットする時間を十分に確保するとよいでしょう。

反対に、カリキュラムが明確になっていないレッスンの場合は、レッスンに出てみてはじめてそのレッスンのポイントが説明されます。フリートークのレッスンなどがこのタイプです。この場合は、予習はできないわけですから、当然復習の時間を十分確保することが学習内容の定着のために重要です。一度レッスン内で触れただけでは覚えられないことがたくさんあります。ノートをとり、定期的に見返しましょう。何度も見ることで記憶が定着します。自分が忘れそうなタイミングで復習をしていくことが大切です。


8c8557a8254243ccbe761fb82f4ba6f1

※エビングハウスの忘却曲線を基に筆者作成

 

学習目的に基づいた考え方
ひよこ勉強
テスト目的で学習をしている場合は、どれほど復習を丁寧にすべきか迷うでしょう。テスト範囲が広い場合は、覚えないといけないことが山のようにあります。予習をしながら前に進んで学習範囲を広げるべきか、復習をして勉強したことをしっかりと記憶に定着させるべきかで迷いが生じます。

迷ったときには、これから学習しないといけないことが、どれくらい残っているかを基に考えましょう。まだまだ学ぶべきことがある場合は、今の自分の力で簡単に理解できそうなところに絞って復習しましょう。理解に時間がかかる部分は後回しにして、前に進みましょう。前に進む意識をもってより多くの学習をすることが大切です。より広い範囲の内容の中から自分が覚えやすいものだけを拾って学習を進めましょう。

学習しないといけないことが多い場合は、広く浅くでも十分にスコアアップが望めます。例えばTOEICのスコアが400点以下の場合は、これから習得しないといけない語彙や文法の中から自分が理解できそうなところを中心に学習を進めていくことで、500点くらいまで底上げができるでしょう。

反対に、特定の試験で高得点をすでに取っており、もっと高いスコアを取らないといけない場合には、完璧を目指していかないといけないわけですから、丁寧な復習が必要です。苦手な問題タイプでミスをしないようになるまで復習をしましょう。応用問題も解きながら、同じ学習ポイントを何度も確認することが大切です。また、選択問題であれば、誤答の選択肢がなぜ誤答であるのかまで説明できるように復習することをおすすめします。自分で解説できるようになるまで復習をすれば、確実に力がつきます。例えば、TOEICで800点を持っており、900点を目指している場合は、こういった隅々まで深堀りした復習が不可欠です。

学習において復習が重要であるというのは常識と言ってもよいでしょう。復習をどれだけ行うかはレッスンスタイルと学習目的に応じて判断し、より多くの情報を記憶に定着させるように工夫しましょう。

おまけ
フクロウ横
教材を何度も音読したり、間違えた問題をできるようになるまで解いたりすることが、復習の基本ですが、「復習してもどうしても覚えられない」「他にも具体的な復習方法があれば知りたい」という方は、下記情報も参考にしてください。

いずれも手を動かす、ひと手間かけることで記憶の定着につながります。

①覚えたことと覚えていないことを可視化するツールを使う(アナログ/デジタル)

 

・ライトナーシステム
5つの箱を用意しそれぞれ1~5の番号を書きます。覚えたい単語や問題を記載した紙を用意し、全て1の箱に入れ答えていきます。正解した紙は2の箱にうつし、不正解のものは1に戻します。同様に、2の箱に入っている問題を解き、正解したら今度は3の箱に移します。どの箱にある紙でも、一度間違えたら全て1の箱に戻します。復習頻度を、1の箱は毎日、2の箱は2日おき、3の箱は3日おき、4の箱は7日おき、5の箱は14日おきのようにすることで、苦手なものを重点的に復習することができます。

・リングファイル(単語カード)
覚えたい項目を記載し、覚えたらリングから外していく。

・アプリ
エビングハウスの忘却曲線に沿ったタイミングで学習できるアプリもありますので興味のある方は探してみましょう。

②印象の強い情報と結びつける。
どうしても覚えられないものについては、例えば単語だったらその言葉を検索して、衝撃的なニュースや印象深い記事、自分が強く関心を持っている事柄とリンクさせてみましょう。忘れにくくなります。

 

 

執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。HR部門への異動が叶わず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

著書:『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション』『英語の数字ルールブック』『ビジネス英語リーディングの技術

---------------------------------------------------------------------------

 

リーディングについて

ネイティブのように前から情報を理解できる! スラッシュリーディング・スラッシュリスニング

・スラッシュリーディング応用編~長文の一文字一句を読まない! 省エネモードを使うべきところを把握

・<企業の研修担当者必読>英語の長文を速く読解できる手法~ ScanningとSkimming~

・英語教材の活用法~辞書を使って学習効果アップ~ Part 1: 読解・リスニング編

■スピーキングについて

<企業研修における英語力育成戦略>初中級者のスピーキング練習法

・<企業研修における英語力育成戦略> 中上級者のLinguaskill Business Speaking対策

・<企業の研修担当者向け>スピーキングテスト対策~時制をマスターせよ~

・<企業の研修担当者必見>グローバルパーソンが身につけたい話し方

・<企業の研修担当者必見>英語スピーキング力を上げる書籍活用法

・<法人向け英語研修>副詞の場所に注意を向けて、自然な英語を話そう!

・<法人向け英語研修>動詞のニュアンスを伝えるのに必要な助動詞をマスターしよう!

・<法人向け英語研修>音声認識機能を活用した発音矯正法

・<法人向け英語研修>【スピーキングの基本】イントネーション

・オンライン英会話レッスンでより多くの学びを得るために

・英語教材の活用法~辞書を使って学習効果アップ~ Part 2: スピーキング・ライティング編

■リスニングについて
・単語の聞き取り力に理解必須 ~シュワの音~
・文の聞き取り力アップに理解必須 ~つながる音・変化する音・消える音~

■VERSANTについて

・VERSANTテスト対策

■Linguaskill Businessについて

・運営しやすい高品質ビジネス英語テスト「Linguaskill Business」

■TOEIC®SW試験について

・ビジネスで戦力となる英語力を見極める TOEIC®SW試験とは

ビジネスで戦力となる英語力を育成する TOEIC®SW目標設定

・ビジネスで戦力となる英語力を育成する TOEIC®SW学習法

■英語学習法

・単語学習のコツ
・ビジネス英会話に頻出する英数字
・音源のない教材を使ったスピーキング練習法
・AIアシスタントを活用したEメール練習法
・英文法嫌いは改善する必要があるの?
・ビジネスパーソンは受動態の用法を攻略せよ!

 

Smart Habit Enterpriseの資料ダウンロードはこちら