短時間でどこからでもパソコンで受験できるうえ、TOEICと英検のスコア換算を出してくれることから、利便性が高いとされているCASEC。このテストの特徴と学習法をご紹介します。

◆CASECとは
casecとはCASECは40分間の試験で、パソコンさえあればいつでもどこでも、比較的安価な費用で受験できるといった利便性が高いことが特徴の一つです。すぐスコアが出ますので、日々の学習に役立てやすいでしょう。
※個人受験の場合は3,667円(税込)、法人の場合は要見積もり。

CASECは“Computerized Assessment System for English Communication”の略で、Computerized Adaptive Test (CAT=コンピュータ適応型テスト)です。コンピュータ適応型テストを用いると受験者の正誤とitem response theory (IRT=項目応答理論)に基づいて適切なレベルで問題が出題され続けます。そのため、より少ない問題数でより高い精度の能力測定ができます。また、CASECのスコアは受験終了後すぐに出て、スコアレポートにはレベル別の英語習熟度アドバイスと独自の調査を元に計算されたTOEICと英検の換算スコアも記載されています。

◆試される力とテストの特徴


casec試験CASECはSection 1-4までの4つのパートに分かれており、それぞれ250点で1,000点満点のテストです。リスニングがリーディングの前にあるTOEICとは異なり、英検同様にリスニングがリーディングの後にあります。一般的にリスニングを先に終えたほうが集中力がもちやすいと言われていますが、CASECは試験が短いのでリスニングのときまでに疲れ切って集中力が切れてしまう心配はさほどありません。

・セクション1:リーディング「語彙の知識」 ※空所補充の四択問題が16問
・セクション2:リーディング「表現の知識」 ※空所補充の四択問題が16問
・セクション3:リスニングでの「大意把握力」 ※四択問題が17問。
・セクション4:リスニングでの「聞き取り能力」 ※ディクテーション(聞こえた内容の書き取り)11問

<一番難しいのは?>
ディクテーションは他の四択問題と違って、答えを選択肢から選べないため、一番苦手だという人が多いです。

 

内容理解のキーポイントとなる単語や表現を聞き取って書き出すことを求められているので、聞く力だけではなく、素早く正しいスペルで書き出すスキルも求められています。ディクテーションはTOEICにも英検にもない問題タイプです。Section 4は日頃からディクテーション慣れしていないと解きにくいパートだと言えるでしょう。

◆学習法


casec学習
<出題トピックと単語慣れするためにやるべきこと>

残念ながらCASECに特化した単語リストや教材はありません。また、TOEICと英検の換算表があるとはいえ、出てくるトピックはTOEICとも英検とも異なります。例えば、TOEICには絶対に出ることのない夫婦の会話がCASECには登場しますし、英検には登場することのないちょっとした不平不満があるときのリアルな会話のようなものがCASECのリスニングタスクに登場することもあります。

つまり、CASECのほうがTOEICや英検よりも出題範囲が広いと考えるといいでしょう。CASECは日常会話からビジネス会話までをカバーし、場面設定もポジティブなものばかりではなく、軽いトラブルの場面までをカバーしています。そのため、広くいろいろな英語に触れていることが高得点を取る秘訣です。

英語初級者はNHKの英会話番組を活用して学習してみてください。シンプルな文法や構文を使いながらもリアルなコミュニケーションとなるように工夫して各場面が作られています。場面のバリエーションも比較的豊富です。中級レベルの方は英語のドラマや映画などにチャレンジしましょう。英語字幕付きで見るのがおすすめです。英語の音と単語を一致させながら表現を覚えていき、ナチュラルスピードにも慣れましょう。

もちろん、TOEICの単語集や英検の単語集を勉強するのも一つの手です。全ての単語がCASECに出るわけでも、それだけやっていればCASECの単語が全部カバーされるわけでもありませんが、英語力の底上げのためにはどの単語集を学ぶかにこだわる必要はありません。語彙力がつけば、英語でのコミュニケーションに必ず役立つでしょう。

<読解力アップ>
CASECではTOEICのような長文が出てきません。TOEICでのダブルパッセージやトリプルパッセージに苦しんでいる人には朗報です。中級レベルのTOEIC受験者の多くが「全部読む時間がない!」と言いますが、CASECではそこまで短時間で読む能力は求められていません。そのため、CASEC受験に向けた読解練習はスピードを意識するよりも丁寧に読んでいく練習が向いています。多読よりも精読。日々の読解トレーニングでは1文ずつ意味を正確に捉えられているかを確認しながら、読み進めましょう。

音源のついている読解素材はディクテーションを練習するのに最適です。まずはしっかりと読んで意味を理解しているか、1文ずつ確認をしていきます。全部の文を読み終えたパッセージを数日置いてから、音源をかけてディクテーション練習に活用しましょう。ぼんやりと意味を覚えていれば、単語を推測しながら書き出せるはずです。この推測力がディクテーションに必要です。また、読解練習に使った素材を再活用することで、よい復習になります。復習をすれば新しく学んだ表現が記憶により定着しやすくなりますので一石二鳥!教材を何度も使うコスパのよい学習法です。

自分の現在地を知るのにぜひ利便性の高いCASECを使ってみてくださいね。

 

 

執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。HR部門への異動が叶わず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

著書:『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション』『英語の数字ルールブック』『ビジネス英語リーディングの技術

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