TOEICオンラインIPテストがスタートしてから、オンラインIPテストを受験した複数の方からお話を伺いました。また、自身でも受験してみました。それらの経験から、本日は紙(冊子)を使用して行われる公開テストとの違いについてお話します。

公開テストとオンラインIPテストに大きな違いを感じたのは以下の点です。

◆Part 1からPart 7へと進まない

公開テストとオンラインIPテストは出題順が異なります。公開テストはPart 1からPart 7まで進むのに対して、オンラインIPテストは以下のように出題されます。


iibchttps://www.iibc-global.org/toeic/corpo/guide/toeic/online_program.html より

つまり以下の流れでテストが進みます。Part 1以外のパートは2回行われます。

<リスニング>
Part 1 → Part 2 → Part 3 → Part 4 → Part 2 → Part 3 → Part 4 
<リーディング>
Part 5 → Part 6 → Part 7 → Part 5 → Part 6 → Part 7

流れが異なることについては、特に影響を受けたという声は聞きませんでした。しいて言えば、Part 1が好きな人が「Part 1が1回しかなくて残念!」と言っていたくらいです。


◆時間の使い方に要注意

画面右上にカウントダウンタイマーがありますので、そのタイマーを見て時間管理をしてください。公開テストでは、一旦全ての問題を解いてから前に戻って見直しをすることができますが、オンラインIPテストでは各Unit内でのみ見直しができます。前のUnitにさかのぼって確認することはできません。

なお、Unitの終了時間前に先のUnitに進むことは可能です。どこかのUnitが早く終わっても余り時間を別のUnitに繰り越すことはできませんので、どのUnitも指定されている時間内に解き終える必要があります。 


◆リスニング問題で先読みできない

TOEIC受験準備用の各種教材では、Part 3とPart 4の「先読み」をするように書かれています。「問題と解答を確認してからリスニングをしましょう」という受験戦略です。しかしオンラインIPテストでは、自動的に画面が遷移するため、好きなタイミングで問題を読むことはできません。問題に関する音が流れるタイミングで初めて文字を見ることができるため、「先読み」の時間がほとんどありません。

このことについては人によって反応が異なるようです。ある人は「先読みできないと諦めがついたのでリスニングだけに集中できた。1問解いたら次の問題に目線を動かすことができて、いつもよりも落ち着いて受けられた」と言っていました。一方で別の人は「今、聞こえてくることがどの問題に紐付いているのかを考えたり、聞き逃したらどうしようと思ったりして焦って聞いていた」と言っていました。いずれにしても慣れで解消するように思います。IPテストの画面遷移のペースに慣れていくためには、E-learningなどで日頃からパソコンで問題を解く練習をするとよいでしょう。


◆リーディング問題のPart 7が読みにくい


IPテストS3パソコンの画面が大きくないと、長いパッセージ、ダブルパッセージ(2つの文を参照)、トリプルパッセージ(3つの文を参照)を並べて見ることができません。このことが2文書参照型の問題を解きにくくしています。また、文字のサイズをちょうど良い大きさに調整しておかないと、小さ過ぎて読みにくいこともあります。ご自身が使う予定のブラウザ上で、予め読みやすい大きさの字に設定を変えておきましょう。

フォントサイズを最大にしておけばよいということではありません。文字が大きいとトリプルパッセージなどは見切れてしまって、かなりスクロールしないと下までたどり着けなくなります。複数文書参照型問題を解くときに同時にパッセージが見られない状態で問題を解くのは難しいです。ご自身のスクリーンサイズに最適なフォントサイズを見つけ出しましょう。


◆時間が短いので、集中しやすい!?

公開テストが約2時間のテストであるのに対して、オンラインIPテストは約1時間です。テスト問題数は公開テストが200問、オンラインIPテストは90問。そのため、多くの人が「あっという間に終わる感じがする」と言います。また、問題を解くのが速い人は先にどんどん進めることができるため、45分くらいで終わるのではないでしょうか(前述のとおり、前のUnitに戻ることはできなくても、先にどんどん進むことは可能)。短時間で終わるということが集中力の維持に役立つという方もいらっしゃいます。一方で文字が読みづらいという難点もあるので、紙での試験を好むか、パソコン上での試験を好むのかは人によるようです。


◆スコアはすぐに確認可能

テストを終了するとすぐに画面にスコアが表示されます。公開テストのように「スコアが待ち遠しい!」ということはありません。(「スコアレポート」は翌日に発行されます。)


◆間違えたときの影響範囲が大きいという声も?!

公式テストではその受験フォームによるものの、数問は間違えても満点の990点をとれます。しかし、IPテストは200問が90問となっていますので、1問の間違いが点数により大きく影響するでしょう。複数問間違えたら満点はとれないようです。

ただ、「満点をとるために何問間違えることができるか」はほとんどの人が影響を受けないことです。一般的には公開テストとオンラインIPテストのスコアの違いはさほどありません。受験のしおりに大きく「スコアの意味はマークシート方式と同じです」と書いてあり、これがテスト運営元の公式見解です。


◆オンラインIPテスト受験のためのヒント
ポイント
彼(敵)を知り己を知れば百戦殆うからず!ということで、必ず 「TOEIC® Listening & Reading IPテスト(オンライン)受験のしおり」を読んでおき、PCの動作環境などを確かめておきましょう。また、フォントサイズ調整も忘れずに。ブラウザも快適に使えると自身で判断したものを活用しましょう。

高得点を得る味方になってくれるかもしれない「道具」は以下のとおり。

ヘッドホン/イヤホン/外付けステレオ ※音がきれいになるだけで聞き取りが楽に!
マウス ※解答をクリックしたり、次の問題に進んだりするためのNEXTボタンをスムーズにクリックして、時短しましょう。
大きいモニター画面 ※視力が良くない、または目が疲れやすい人は画面が小さいと非常に読みづらいです。3文書を参照する問題もありますので、モニターを縦に設置してもよいかもしれません(文書は縦に並んでいます)。

以上、準備できるものがあれば、受験前にテーブルにセットしておきましょう。
Good luck!

 

 

執筆者:江藤 友佳(えとう ゆか)
Y.E.Dインターナショナル合同会社CEO 

クレアモントマッケナ大学卒業後コロンビア大学大学院ティーチャーズカレッジで修士号を取得。大学時代に故ピーター・ドラッカーの授業を受け、組織開発に興味を持ち、PwCコンサルティングに入社。HR部門への異動が叶わず、人材育成に関わることもできる研修業界へ転職を決意。株式会社アルクで教務主任として多くの教材作成や企業研修、教員研修を担当した後に、楽天で英語化プロジェクトのco-leaderとして社員教育に従事。英語教育事業部の立ち上げ支援後に独立し、現在は教材制作の下請けやアドバイザリーサービスを提供している。

著書:『ロジカルに伝わる英語プレゼンテーション』『英語の数字ルールブック』『ビジネス英語リーディングの技術

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